ウィリアム・A・ホーニング

ウィリアム・アレン・ホーニング (1904年11月9日 - 1959年3月2日) は、アメリカ合衆国の映画界に名を刻んだ伝説的な美術監督です。彼のキャリアは、1931年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）のドラフトマンとしてスタートしました。その後、同社のスーパーバイジング・アートディレクター、セドリック・ギボンズのアシスタントに抜擢され、才能を開花させていきます。

ギボンズとの協働は、ホーニングのキャリアにおいて大きな転機となりました。1937年、映画『征服』で初めてアカデミー賞美術賞にノミネートされます。これはギボンズとの共同ノミネートでしたが、ホーニングの才能を世に知らしめる第一歩となりました。続く1939年には『オズの魔法使』、1951年には『クォ・ヴァディス』と、立て続けにアカデミー賞候補に名を連ねます。これらの作品は、映画史に燦然と輝く名作であり、ホーニングの美術監督としての卓越したセンスと技術の高さを示すものです。

1956年、ギボンズの引退に伴い、ホーニングはMGMのスーパーバイジング・アートディレクターに就任。ギボンズという巨匠の影を離れ、自身の才能を遺憾なく発揮する時代が幕を開けます。1957年には『魅惑の巴里』と『愛情の花咲く樹』で、単独でアカデミー賞候補にノミネートされました。これは、彼の独立性を示す大きな成果であり、これまでの経験と才能を基盤に、独自のスタイルを確立したことを意味します。

ホーニングの情熱は、彼の最期の瞬間まで衰えることはありませんでした。亡くなるわずか1週間前、映画『恋の手ほどき』で第31回アカデミー賞美術賞の候補にノミネートされます。そして、4月に行われた授賞式で、彼は死後、その栄誉を手にしました。これは、彼の作品に対する評価の高さを物語るものであり、映画界に大きな衝撃を与えました。

しかし、ホーニングの栄光は、そこで終わらなかったのです。亡くなった翌年の第32回アカデミー賞では、アルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』とウィリアム・ワイラー監督の『ベン・ハー』の2作品で、再び死後ノミネートを受けます。そして、『ベン・ハー』で、彼は見事にアカデミー賞美術賞を受賞しました。この作品は作品賞も受賞しており、ホーニングの功績が広く認められたことを示すものです。さらに注目すべきは、『ベン・ハー』のプロデューサーであるサム・ジンバリストも撮影中に亡くなっていたため、この映画は2人の死後受賞者を出した作品として映画史に名を刻んでいる点です。

2019年現在、死後に2度もアカデミー賞を受賞した人物は、ホーニングただ一人です。彼の作品は、時代を超えて人々を魅了し続け、映画史に多大な貢献を果たしました。彼の死は映画界に大きな損失をもたらしましたが、彼の作品は永遠に人々の記憶に残り続けるでしょう。彼の才能と情熱、そして彼の残した作品群は、これからも多くの人々に感動と勇気を与え続けるに違いありません。

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