ウィルズデン・ジャンクション駅

ウィルズデン・ジャンクション駅：ロンドンの複雑な交通網を象徴する駅

ロンドン北西部のハレスデン地区に位置するウィルズデン・ジャンクション駅は、ロンドン交通の要衝として知られています。駅名はウィルズデン地域を由来とするものの、実際には約1.6km南に位置しており、かつてのウィルズデン特別区の南端に該当します。

複雑な線路配置と駅構造

ウィルズデン・ジャンクション駅は、東西に走るウェスト・コースト本線、ワットフォードDC線、そして南北に高架を走るノース・ロンドン線が交差する地点に建設されています。さらに、ノース・ロンドン線からウェスト・ロンドン線が分岐するなど、非常に複雑な線路配置が特徴です。

駅は地上と高架の2層構造で構成されています。高架上層部にはノース・ロンドン線とウェスト・ロンドン線のホーム（4・5番線）があり、地上下層部にはワットフォードDC線のホーム（1～3番線）があります。

ワットフォードDC線のホームは1面3線の地上駅で、ベイカールー線とロンドン・オーバーグラウンドの列車が発着します。一方、ノース・ロンドン線のホームは島式ホーム1面2線で、ロンドン・オーバーグラウンドのノース・ロンドン線とウェスト・ロンドン線の列車が発着します。ウェスト・ロンドン線はここで北側の終点となりますが、ラッシュ時には一部列車がノース・ロンドン線に直通運転しています。

下層部のワットフォードDC線ホームは、島式ホームの外側に1・3番線、内側に2番線（頭端式）が配置されています。2番線は現在、ロンドン・オーバーグラウンドの回送列車が主に使用しています。また、この頭端式ホームは、ケンサル・ライズ駅との短絡線を通じて、車両基地や他の路線との回送に活用されています。

かつてはウェスト・コースト本線にもホームが存在していましたが、電化工事などの準備に伴い1962年に撤去されています。現在も線路間にその痕跡が残っていると言われています。

歴史と発展

ウィルズデン・ジャンクション駅の歴史は、1837年にロンドン・アンド・バーミンガム鉄道が開通したことに始まりますが、当時は駅は設置されていませんでした。その後、1866年に駅が開業し、1915年にはベイカールー線が乗り入れるようになりました。それぞれの路線の開通に伴い、段階的に駅施設が整備されてきたと言えるでしょう。特に、「New Line」（現在のワットフォードDC線）の開通時には「ウィルズデン新駅」として建設され、現在の複雑な構造へと発展していきました。

列車運行状況

ウィルズデン・ジャンクション駅では、複数の路線が運行しています。昼間時間帯の運行本数は、ワットフォードDC線でロンドン・オーバーグラウンドが各方面3本、ベイカールー線が各方面9本、ノース・ロンドン線で各方面4本、ウェスト・ロンドン線で各方面2本となっています。

ベイカールー線の終着駅となる列車は、北側のストーンブリッジ・パーク車両基地で折り返し運転を行います。これは、駅職員が終着列車の状況を監視する必要があるためです。

周辺路線との接続

ウィルズデン・ジャンクション駅は、以下の駅と接続しています。

ロンドン地下鉄ベイカールー線：ハールスデン駅、ケンサル・グリーン駅
ロンドン・オーバーグラウンド（ワットフォードDC線）：ハールスデン駅、ケンサル・グリーン駅
ロンドン・オーバーグラウンド（ノース・ロンドン線）：アクトン・セントラル駅、ケンサル・ライズ駅
ロンドン・オーバーグラウンド（ウェスト・ロンドン線）：シェパーズ・ブッシュ駅、ケンサル・ライズ駅

まとめ

ウィルズデン・ジャンクション駅は、複雑な線路配置と歴史を持つ、ロンドン交通網を象徴する駅と言えるでしょう。複数の路線が乗り入れ、多くの乗客が利用する重要な交通拠点として、今後もロンドンの発展に貢献していくことでしょう。

もう一度検索