ウィルフレッド・バデリー

ウィルフレッド・バデリーの生涯と業績

ウィルフレッド・バデリー（Wilfred Baddeley）は、1872年1月11日にイギリスのロンドン市ブロムリーで生まれました。彼はテニス界で非常に影響力のある存在となり、1890年代のウィンブルドン選手権で名を馳せました。特に、双子の弟であるハーバート・バデリーと共に、「バデリー兄弟」として知られ、その名声を高めました。

ウィルフレッドは1890年からウィンブルドン選手権に参戦を始め、1891年には男子シングルスと男子ダブルスの両部門で優勝を果たしました。この時期のウィンブルドン選手権は、現在の形式とは異なり、「チャレンジ・ラウンド」と「オールカマーズ・ファイナル」の二段階を踏む独特のシステムでした。

1891年の男子シングルスでは、前年優勝者であるウィロビー・ハミルトンが欠場したため、ウィルフレッドはチャレンジ・ラウンドの決勝でジョシュア・ピムと対戦。激闘の末、彼は6-4, 1-6, 7-5, 6-0のスコアで勝利し、初の優勝を手にしました。さらに、男子ダブルスでも弟のハーバートと組み、決勝でピムとフランク・ストーカーのペアを下し、見事にタイトルを獲得しました。この時ウィルフレッドはわずか19歳でした。

彼は続く1892年にもシングルスタイトルを防衛し、1893年に一時的にタイトルを逃したものの、1894年には再び挑戦の舞台に立ち、しかしピムに敗北しました。その後、1895年にはウィルバーフォース・イーブズを相手にフルセットで勝利し、3度目のシングルス優勝を果たします。しかし、1896年のオールカマーズ・ファイナルではハロルド・マホニーに敗れ、タイトルを失う結果となりました。

ウィルフレッドとハーバートのバデリー兄弟は、男子ダブルスでも成功を収めています。1891年に初のタイトルを獲得し、1894年から1896年にかけて3連覇を達成。その結果、彼らは男子ダブルスで通算4度の優勝を記録しました。1897年の決勝では、ドハティー兄弟に敗れたものの、その年をもって二人はウィンブルドン選手権から引退し、テニス界に一時代を築きました。

彼らの時代が終わると、ドハティー兄弟が新たな支配者となり、ウィンブルドン選手権の歴史は新たな章を迎えます。ウィルフレッド・バデリーは、ウィンブルドン引退後フランスに移住し、1929年1月24日にマントンで57歳で死去しました。

ウィルフレッド・バデリーの功績は、シングルスとダブルス両方で強力な存在感を示したことにだけでなく、初期のウィンブルドン選手権における兄弟選手の先駆者としての地位にもあります。彼の名は、歴史上重要なテニス選手の一人として今も語り継がれ、2013年には国際テニス殿堂に迎えられました。彼の業績は、テニス史における双子選手の重要な役割をも明らかにしました。

もう一度検索