ウィルミントン伯爵

ウィルミントン伯爵：短命に終わったイギリスの爵位

18世紀のイギリスには、ウィルミントン伯爵という爵位が存在しました。グレートブリテン貴族に属するこの爵位は、輝かしい経歴を持つスペンサー・コンプトンによって1730年に創設されましたが、彼の死によってわずか一代でその歴史に幕を閉じました。本稿では、この短命に終わった爵位とその初代伯爵について詳しく見ていきましょう。

スペンサー・コンプトン：首相の座に就いた初代伯爵

スペンサー・コンプトンは、1674年頃に生まれました。彼は第3代ノーサンプトン伯爵ジェームズ・コンプトンの三男として、ホイッグ党の政治家として活躍しました。その政治家としてのキャリアは順調で、1728年には「サセックス州におけるウィルミントンのウィルミントン男爵」に叙せられます。そして、1730年にはさらに昇進し、「ウィルミントン伯爵」および「サセックス州におけるペヴァンゼイのペヴァンゼイ子爵」の称号を得ました。

彼の首相在任期間は1742年から1743年にかけてでした。これは、ロバート・ウォルポールが辞任した後でした。しかし、興味深いことに、実質的な権力は第2代カートレット男爵ジョン・カートレットが握っていたとされています。コンプトンは首相の座に就いたものの、その実権は他者に委ねていたのかもしれません。

爵位継承の途絶と再興

不幸なことに、スペンサー・コンプトンには子供がいませんでした。そのため、1743年に彼が亡くなると、ウィルミントン伯爵位は、ウィルミントン男爵位とペヴァンゼイ子爵位と共に完全に断絶しました。

しかし、ウィルミントン伯爵位は完全に消滅したわけではありません。1812年、コンプトンの甥の孫にあたる第9代ノーサンプトン伯爵チャールズ・コンプトンが、ノーサンプトン侯爵に叙任された際、同時にウィルミントン男爵位が新しく創設されました。これは、過去の爵位とは別個の爵位として扱われます。

まとめ：栄光と消滅の物語

ウィルミントン伯爵位は、短いながらも華々しい歴史を持つ爵位でした。初代にして最後の伯爵となったスペンサー・コンプトンは、イギリスの首相という重要な地位に就いた人物です。しかし、子孫がなかったため、爵位は短命に終わりました。この爵位の歴史は、権力と継承、そして歴史の偶然の一致を物語る興味深いものです。また、爵位創設から消滅、そして再興という過程は、イギリス貴族制度の複雑さと流動性を示す一例として、歴史研究において重要な意味を持っています。今後の研究では、スペンサー・コンプトンの首相としての政治活動や、ウィルミントン伯爵位が創設された当時の政治状況なども詳細に検証していく必要があるでしょう。

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