ウィンドウ・シル/ヘッダー

ウィンドウ・シルとウィンドウ・ヘッダー

ウィンドウ・シルおよびウィンドウ・ヘッダーは、1950年代以前に製造された鉄道車両において、主に窓周りの補強を目的とした金属製の部品です。これらの構造物は、車体の窓の上下に取り付けられ、鉄道車両の耐久性と安全性を確保するために重要な役割を果たしていました。

表記とその違い

ウィンドウ・シルは窓の下部に、ウィンドウ・ヘッダーは窓の上部に位置することから、それぞれの名称が付けられています。また、これらの表現には揺らぎがあり、ウインドシルやヘッダーといった略称や変形も見受けられます。

鉄道車両における役割

鉄道車両、特に旅客を運搬する客車や電車、気動車では窓が不可欠です。しかし、窓の設置部分は構造の強度が低下しやすくなるため、鉄道車両が初めて登場した木造時代から、ウィンドウ・シルとヘッダーはほぼ必ず装備されてきました。1930年代後半でも、従来と変わらない構造の車両において、ウィンドウ・シルまたはウィンドウ・ヘッダーのいずれかを車体外板の裏側に溶接し、外観にはこれらの部品を取り付けない新たな設計の試みが行われました。

技術的変遷

1950年代に入ると、鉄道業界で新しい全金属製の軽量車体が広く用いられるようになりました。これにより、窓枠の材質も従来の木製からHゴムやアルミサッシに変わり、強度面でも補強が必要なくなりました。その結果、ウィンドウ・シルとヘッダーは設置されなくなり、1950年代末にはこれらの部品を装備した車両はほとんど製造されなくなりました。現在では、これらの補強板を持つ車両を見ることは非常に稀です。

ノーシル・ノーヘッダー

ウィンドウ・シルとウィンドウ・ヘッダーが取り付けられていない車両は「ノーシル・ノーヘッダー」と呼ばれています。1950年代中頃の過渡期には、ウィンドウ・シルのみが残存し、ヘッダーが省略された設計の車両も見られました。これらの変化は、鉄道技術の進化を象徴するものであり、近代的な設計理念の確立を示しています。

まとめ

ウィンドウ・シルとウィンドウ・ヘッダーは、鉄道車両の設計および製造において重要な要素であり、特に旅客車両の安全性を向上させるために長い間使用されてきました。しかし、時代の進展により技術が進化し、これらの部品の必要性が減少したことから、現代の鉄道車両ではその姿をほとんど見ることがなくなりました。鉄道車両の歴史を理解するための興味深いポイントと言えるでしょう。

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