ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン

スレイド「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」：復活を告げた熱狂のアンセム

「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」（We'll Bring The House Down）は、イギリスのロックバンド、スレイドが1981年に発表した楽曲です。同名のアルバムからの先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高10位を獲得。1977年以来、4年ぶりのトップ10入りを果たし、スレイドの復活を印象付けました。

低迷期からの脱却、そしてレディングでの再評価

1970年代後半から、スレイドは音楽チャートでの存在感を失い、人気は低迷していました。しかし、1980年8月、レディング・フェスティバルへの出演が転機となります。急遽オジー・オズボーン・バンドの代役として出演したスレイドは、その圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了し、高い評価を得ました。この成功を受けてリリースされたEP盤『Alive at Leading』とコンピレーション・アルバム『Slade Smashes!』もチャートで上位を記録し、再評価の機運が高まりました。

アムステルダムの熱狂から生まれた楽曲

「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」は、アムステルダムのパラディーゾ・クラブでのライブ体験が基になっています。ライブ後も帰りたくない観客がチャントを繰り返す様子に触発され、ジム・リーが楽曲を書き上げました。レコーディングは1981年1月にロンドンのポートランド・スタジオで行われ、ドラムの音響には独特の工夫が凝らされました。ダブルトラックに加え、片方のトラックは男性用トイレで録音され、楽曲に特徴的な残響音を加えています。

チャートイン、そしてその反響

シングル盤は全英シングルチャートで最高10位を獲得。ドン・パウエルは、「カムバックとは思っていない」としながらも、「最後にヒットしてから本作までどれくらいの期間があったのか考えたことはなかったけど、4、5年ぶりのヒットと聞いて誰もが驚いていることを実感した」と語っています。

その後

1992年3月下旬には、ハウスダンス調にアレンジされた再録音が行われましたが、これは未発表のままとなりました。同月末にはノディ・ホルダーが脱退、続いてジム・リーが脱退し、このレコーディング・セッションがバンド最後のものとなりました。

リリースとプロモーション

「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」は、イギリス、アイルランド、ドイツ、スペイン、オーストラリア、ニュージーランドでリリースされました。B面には、イギリスとアイスランド盤には「ホールド・オン・トゥ・ユア・ハッツ」、その他の国では「ホイールズ・エイント・カミング・ダウン」が収録されました。

エリック・ボリスキーが監督を務めたミュージック・ビデオも制作され、BBCの『トップ・オブ・ザ・ポップス』やITVの『Moondogs』、ドイツの音楽番組『Musikladen』などで披露されました。

演奏メンバー

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、ギター
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル
ジム・リー - ベース、バッキング・ボーカル
ドン・パウエル - ドラム

カバー・バージョン

ジム・リーは1990年に「The Clout」という偽名でこの曲をカバーし、シングルとして発表しました。このバージョンでは、元シャカタクのジャッキー・ロウがボーカルを務め、スレイド版のチャント部分がサンプリングされています。

「ウィール・ブリング・ザ・ハウス・ダウン」は、スレイドの再評価を決定づけた重要な楽曲であり、その熱狂的なエネルギーは今もなお、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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