ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2013

2013年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が開催した特別なコンサートで、指揮はフランツ・ウェルザー＝メストが務めました。今回の演奏会のポイントは、リヒャルト・ワーグナーとジュゼッペ・ヴェルディの生誕200周年を祝い、彼らの楽曲が初めてプログラムに組み込まれたことです。また、ヨーゼフ・シュトラウスの曾孫であるヘトヴィク・アイグナー＝シュトラウスが90歳という節目を迎えたことを記念し、ヨーゼフの作品が特に多く演奏されました。

特徴

通常、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでは「ワルツ王」として知られるヨハン・シュトラウス2世の楽曲が中心となりますが、2013年はヨーゼフ・シュトラウスの作品が7曲と多く取り上げられ、ヨハンのものは5曲という異例のプログラムが組まれました。このような意図的な配分は、コンサートに新鮮な風をもたらしました。

第一部では、指揮者フランツ・ウェルザー＝メストに関連した楽曲が選ばれました。ウェルザー＝メストの母方の先祖は、ウィーンの象徴的なカジノとダンスホール「カジノ・ドムマイヤー」の創業者であり、ここではシュトラウス兄弟の多くの作品が初演されてきました。第一部のスタートは、ユニークな『スープレット・ポルカ』であり、次にヨハン・シュトラウス2世の『キス・ワルツ』が続きます。この曲はウェルザー＝メストの妻の名と同じアンゲリカに捧げられたもので、ロマンティックな雰囲気が漂います。

続いて、ウェルザー＝メストが好む山歩きにインスパイアされた『山の上から』、そして最後にはお気に入りの『軽騎兵』序曲が演奏され、コンサートの特色を際立たせました。

第二部は、より国際色豊かな内容が展開されました。前半はワーグナーの作品や、その影響を受けた楽曲が並び、後半はヴェルディの作品に焦点を当てています。特に注目されるのは、『ローエングリン』の第3幕への前奏曲が初演されたことです。さらに、このプログラムではヴェルディのイタリアに関連する楽曲も多く取り上げられました。

加えて、アンコールの一つには、ヨーゼフ・シュトラウスの『おしゃべりなかわいい口』が演奏され、この曲はシュトラウスの娘カロリーネに捧げられたものです。カロリーネの孫であるヘトヴィクの臨席を契機に、この曲の演奏は特別な意味を持つものでした。

演奏曲目

2013年のコンサートでは、全20曲中11曲がニューイヤーコンサート初登場という充実した内容でした。以下は演奏された楽曲の詳細です。

第一部

1. 『スープレット・ポルカ』（ヨーゼフ・シュトラウス）
2. 『キス・ワルツ』（ヨハン・シュトラウス2世）
3. 『劇場カドリーユ』（ヨーゼフ・シュトラウス）
4. ワルツ『山の上から』（ヨハン・シュトラウス2世）
5. 喜歌劇『軽騎兵』序曲（フランツ・フォン・スッペ）

第二部

1. ワルツ『天体の音楽』（ヨーゼフ・シュトラウス）
2. ポルカ『糸を紡ぐ女』（ヨーゼフ・シュトラウス）
3. 歌劇『ローエングリン』第3幕への前奏曲（リヒャルト・ワーグナー）
4. ポルカ『二人きりで』（ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世）
5. ワルツ『宵の明星の軌道』（ヨーゼフ・シュトラウス）
6. ポルカ『ガロパン』（ヨーゼフ・シュトラウス）
7. 『シュタイヤー風舞曲』（ヨーゼフ・ランナー）
8. 『メロディー・カドリーユ』（ヨハン・シュトラウス2世）
9. 歌劇『ドン・カルロ』第3幕のバレエ音楽より「プレスティッシモ」（ジュゼッペ・ヴェルディ）*
10. ワルツ『レモンの花咲くところ』（ヨハン・シュトラウス2世）
11. 幻想曲『エルンストの思い出、またはヴェネツィアの謝肉祭』（ヨハン・シュトラウス1世）

アンコール

1. ポルカ『おしゃべりなかわいい口』（ヨーゼフ・シュトラウス）
2. ワルツ『美しく青きドナウ』（ヨハン・シュトラウス2世）
3. 『ラデツキー行進曲』（ヨハン・シュトラウス1世）

このように、2013年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは特別な意味を持つものであり、音楽ファンにとって記憶に残る素晴らしい演奏会となりました。

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