ウィーン楽友協会

ウィーン楽友協会：音楽の殿堂

ウィーン楽友協会（Wiener Musikverein）は、1812年に設立されたオーストリア・ウィーンにある由緒ある音楽団体であり、その本部施設は世界的に有名なコンサートホールとして知られています。正式名称は「Die Gesellschaft der Musikfreunde in Wien」といい、日本では「楽友協会」と呼ばれることが多いです。

歴史

現在の建物は1870年に竣工しました。19世紀半ばまで、ウィーンには大規模なコンサートホールが不足しており、既存の施設も収容人数が限られていました。楽友協会は、聴衆の増加に対応するため、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に大規模なコンサートホールの建設を請願しました。その結果、1863年にカールス教会の向かい側の敷地が与えられ、デンマーク人建築家テオフィール・ハンセンの設計により建設が開始、3年をかけて完成しました。

19世紀には、ヨハネス・ブラームスも協会のメンバーとして活動しました。彼は1872年から1875年の間、協会のコンサートで指揮を執り、小ホールで自身のピアノ作品を初演しました。彼の功績を称え、1937年には小ホールが「ブラームス・ザール」と名付けられました。20世紀後半には、ロリン・マゼールやアルフレート・ブレンデルなどの著名な音楽家がメンバーに名を連ねています。

ホール

ウィーン楽友協会には、以下の主要なホールがあります。

大ホール（黄金のホール）

1870年に完成した大ホールは、「黄金のホール」として広く知られています。シューボックス型の構造を持ち、絢爛豪華な内装が特徴です。指揮者のブルーノ・ワルターは、初めてこのホールで指揮した際の感動を「音楽がこれほど美しいものだとは知らなかった」と語っています。しかし、音響は座席によって異なり、視界が悪い場所もあるため、観客からの評価は分かれます。毎年1月1日には、ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートが開催される場所でもあります。第二次世界大戦終結直後には、一時的にソ連軍の馬房として使用されそうになったこともありました。このホールは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地であるだけでなく、ウィーン交響楽団やウィーン放送交響楽団も演奏会で使用しています。舞踏会シーズンには、ウィーン・フィルが演奏する舞踏会が開催されます。

小ホール（ブラームス・ザール）

大ホールと同時に完成した小ホールは、「本当の宝箱」とも呼ばれるほど美しい空間です。1937年にヨハネス・ブラームスを称えて命名され、1993年に改修されました。室内楽に適したホールとして知られています。

その他のホール

2004年には、地下に以下の4つのホールが建設されました。これらのホールは、コンサートだけでなく、会議やイベントなどにも使用されています。

ゴットフリート・フォン・アイネム・ホール
Gläserner Saal / Magna Auditorium - 多目的ホール
Metallener Saal - 多目的ホール
Steinerne Saal / Horst Haschek Auditorium - 多目的ホール
Hölzerner Saal - コンサートには使用できないが、リハーサルやレセプションに使用されるホール

資料室

楽友協会の資料室には、作曲家の自筆楽譜や大指揮者の使用楽譜など、音楽家や研究者にとって貴重な資料が多数所蔵されています。

ベートーヴェンの『交響曲第3番』の自筆表紙（ナポレオンへの献呈の辞が消された跡がある）
シューベルトの交響曲の自筆楽譜（第5番を除く全曲）
ブラームスの全自筆楽譜・書簡などの所有物（本人の遺贈）
グスタフ・マーラーが使用した指揮棒

ギャラリー

（画像は省略）

映画

ウィーン楽友協会は、映画「のだめカンタービレ 最終楽章」の舞台としても使用されました。

関連事項

ウィーン楽友協会合唱団
ライナー・キュッヒル - ウィーン・フィルの元コンサートマスター。ウィーン・ムジークフェライン弦楽四重奏団を主宰。

外部リンク

公式ウェブサイト（ドイツ語）
公式ウェブサイト（英語）
公式ウェブサイト（日本語）
* 資料室公式サイト（ドイツ語）


ウィーン楽友協会は、その歴史、美しいホール、貴重な資料を通じて、クラシック音楽の愛好家にとって特別な場所であり続けています。

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