ウイマム

ウイマムの歴史と意義

ウイマムは、アイヌ民族と松前藩との間で行われた交易形態であり、後に藩主に対する拝謁の儀式へと発展しました。この文化的な習慣は、アイヌと本州の人々との関係を象徴するもので、交易活動がその背景にあります。

ウイマムの語源

その名の「ウイマム」は、日本語の「ういまみえ」（初見）や「おめみえ」（御目見得）の転訛説と、アイヌ語の「交易」を意味する言葉に由来するという二つの説があります。このように、ウイマムは異文化が交じり合った結果生まれた概念であると言えるでしょう。

交易形態としてのウイマム

もともとは、アイヌの乙名（首領）が毛皮や海産物、工芸品などの特産物を積んだ航海用の特別な船、ウイマムチップを使い、松前に訪問していました。ここで、松前藩の領主に拝謁し、献上品を奉納するというものでした。この交易の形式は、松前藩から酒や衣服などを受け取った後、アイヌが帰郷する形をとっていました。

このようなウイマムの商習慣は、時を経るにつれ、知行主（この地域を治める者）が自らの知行地に交易船を派遣する「商場（場所）知行制」へと変化していきました。これにより、アイヌと松前藩の関係はより一層強化されていったのです。

拝謁の儀式としてのウイマム

1615年、アイヌの乙名が松前藩主・松前公広に拝謁し、海獺の毛皮を献上したことにより、アイヌによるウイマムが公式に始まりました。しかし、時が経つにつれ、ウイマムはアイヌが藩主に謁見する「謁見礼」や「目見得礼」といった儀式へと変わっていきました。この変化は、松前藩が蝦夷地を統治する手段としてウイマムを利用したことが影響しています。

文化13年（1816年）には、蝦夷地を5つの場所に分け、漁閑期の7月から9月にかけてアイヌの乙名が交替でウイマムを行なうことが決められました。さらに、幕府の巡検使に対してもウイマムが行われるようになりました。

アイヌからの献上品には毛皮や海産物、工芸品が含まれ、松前藩が返礼として渡したものは、拝謁者の身分によって異なり、陣羽織や漆器、煙草、酒などが支給されました。

まとめ

このようにウイマムは、アイヌ民族と松前藩との多様な関係を育む重要な文化的背景を持っていました。交易から始まり、儀式へと発展したこの習慣は、時代の変遷と共に異なる形をとりながら、双方の文化の交友を象徴しているのです。ウイマムは、単なる交易以上の意味を持ち、アイヌ民族と松前藩の歴史的な関係を物語っていると言えるでしょう。

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