松前公広

松前公広（まつまえ きんひろ）は、江戸時代前期に蝦夷地を治めた松前藩の第2代藩主です。初代藩主・松前慶広の孫として、慶長3年（1598年）に誕生しました。父は盛広ですが、彼が早世したため、祖父・慶広の後継者となりました。

慶長19年（1614年）には従五位下・志摩守に叙任され、元和3年（1617年）に祖父・慶広の死去に伴い、家督を継いで第2代藩主となりました。

藩主として、公広は城下町の整備や家臣団の確立に尽力しました。元和6年（1620年）には福山館の城下町を整備し、寛永12年（1635年）には領内の地図を作成させました。また、商場を知行として家臣に分与する商場知行制を導入し、家臣団の基盤を固めました。財政面では、金山奉行を設置して砂金の採取を奨励し、藩の財政を支えました。

しかし、寛永14年（1637年）に福山館が火災で焼失し、公広自身も火傷を負うという災難に見舞われ、その後の政策は困難を極めました。寛永16年（1639年）には、幕府のキリシタン取締りの命を受け、領内のキリシタン106名を処刑するという悲劇も起きました。

寛永18年（1641年）に44歳で死去。辞世の句は「来し道も　帰る道にも　ただひとり　のこる姿は　草の葉の露」です。家督は次男の氏広が継ぎました。

公広は、沢庵宗彭から仏道を、小幡景憲から軍学を学んだとされ、文化人としても知られています。諸芸に通じ、松前藩の藩政は、初代・慶広と公広の時代に確立されたと言われています。

系譜

父：松前盛広
母：下国直季の娘
正室：大炊御門資賢の娘
継室：藤子（蠣崎守広の娘）
側室：蠣崎氏
子女：
松前兼広（長男）
松前氏広（次男、生母は正室）
松前泰広（三男、生母は蠣崎氏）
松前広維室
松前広諶
松前幸広
蠣崎清広室
新井田成政室
娘
蠣崎広林室

参考文献

* 藤野保・木村礎・村上直編 『藩史大事典 第1巻 北海道・東北編』 雄山閣 1988年　ISBN 4-639-10033-7

もう一度検索