ウイングシャトル

ウイングシャトルの概要

ウイングシャトルは、関西国際空港の第1旅客ターミナルと南北ウイング間を移動するための新型交通システムです。この交通手段は、エレベーターやエスカレーターの一種として位置付けられており、日本の鉄道事業法には該当しない特性を持っています。

路線の構成

ウイングシャトルの路線は、北ウイングと南ウイングを結ぶ2系統から成り立っています。旅客ターミナルビルの3階、出国審査場を通過後の国際線トランジットエリアに位置する「本館駅」を起点に、ウイングの中央部にある「中間駅」と最端の「先端駅」へのアクセスが提供されています。特に「本館駅」と「先端駅」間の距離は545メートルです。

各駅には信号保安システムが導入されており、一般的な自動運転制御方式であるATCおよびATOが使用されています。また、運行開始時に車両が整備される車両基地も存在します。

駅の構造とデザイン

ウイングシャトルの各駅は、ホームドア式の設計になっており、出発側と到着側がガラスで仕切られています。この仕切りによって、円滑な入出場が維持されています。また、車両デザインは著名なイタリアの建築家レンゾ・ピアノによるもので、空港の環境と調和するようにデザインされています。車両は軽量なステンレス製で、赤色を基調としたカラーリングが特徴です。

車両の仕様

ウイングシャトルの車両は、3両が一編成を構成し、南北ウイングにそれぞれ4編成ずつ、予備編成が1編成配置されています。車両は国際線の出発客向けが1両、到着客専用の1両という構成になっており、車両内には折りたたみ式の座席や車椅子スペースが設けられています。

機器と制御方式

このシステムは、サイリスタ位相制御を用いた制御装置によって各車両が管理されています。車両は電動車に分類され、主電動機は車両ごとに装備されています。補助電源装置の設計も精密で、電力供給が安定しています。簡易運転台を装備し、万が一の事態に備えた運用が行えるようになっています。

運行の特徴

ウイングシャトルの運行は、最高速度が35km/hで無人自動運転です。航空機の発着時間に応じて運行されるため、最低2分、最大6分の間隔での運行が行われます。乗車は無料ですが、利用対象者が限定されており、特に第1ターミナルの国際線を利用する乗客や職員に限定されています。

運行においては、特に先端駅行きと中間駅行きの間に構造上の特性があります。先端駅行きの車両は中間駅を通過するため、非常事態を除いて停車しません。現在、リノベーション工事の影響で、一部の運行が長期間休止になることもあります。

予備編成と運用

運行の安定性を確保するために、1999年には予備編成が増備され、しばしば使用されない場合は専用の留置施設に保管されます。この新たに増備された編成は、初期の8編成とほぼ同様ですが、南北ウイングに対応できる設計がなされています。

ウイングシャトルの活用により、関西国際空港の通行が円滑になり、定期的な運行が行われることが利用者にとっての利点です。この交通システムは、空港の機能を支える重要な役割を果たしています。

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