主電動機

主電動機とは

主電動機とは、電車や電気機関車の走行を支えるために設計された電動機です。基本的に、台車の内部に取り付けられ、歯車によって輪軸に動力を伝えます。この機構によって、電車は安定した走行が可能となります。

主電動機の特徴

主電動機には主に走行用の電動機が指定され、電動発電機なども利用されますが、ここで言う「主電動機」は特に走行に特化したものを指します。主電動機の性能は、加速時や減速時において印加電圧が主制御器によって調整され、発電ブレーキや回生ブレーキ機能を介して走行エネルギーを電力に変換する役割も果たします。

特に望まれる特徴は以下のとおりです。

• - 起動時や低速で高トルクを発揮することが重要であり、高速域よりもこの性能が重視されます。
• - 幅広い速度域で安定した性能を維持でき、速度制御が容易であること。
• - 起動時や重負荷時に過剰な電力を必要としないこと。

また、電車の台車に取り付けられるため、設計は台車の高さや軌間に影響を受けつつ、できるだけコンパクトで高出力を実現することが求められます。

分類方法

主電動機の方式には様々な種類があるため、過去から現在にかけて主に以下の三種に分類されます。

1. 直流整流子電動機: よく使われていたもので、起動時から低速域でトルクが大きく、高速域でトルクが減少する特性を持っています。しかし、摩耗するブラシのメンテナンスが必要で、エネルギー効率も課題があります。
2. 三相誘導電動機: 最近ではVVVFインバータ制御の進展により、広く普及しています。整流子がないため保守が容易で、出力を高めるのが容易です。
3. 無整流子電動機: 鉄道車両ではあまり使われていません。

駆動方式

主電動機は、歯車式の駆動装置を用いるのが一般的で、以下の2つの主要な駆動方式に分けられます。

• - 吊り掛け駆動方式: 主に古い電気機関車で使用されてきました。主電動機が車体の床下に取り付けられ、特殊な伝達装置を用いるケースも見られます。
• - カルダン駆動方式: より新しい技術で、力の伝達において効率的です。

回転方向

主電動機には基本的な回転方向があります。時計回り（CW形）と反時計回り（CCW形）の2種類あり、メーカー毎に異なる影響を受けます。例えば、日立製作所は独自の方向性でCW形を採用しているのに対し、三菱電機、東芝はCCW形が主流です。

主な主電動機の形式

日本の国有鉄道では「MT」という形式が一般的に使用されています。例えば、MT4形はゼネラル・エレクトリック社製で、675V時に定格出力85kWを持つ電動機です。様々な電気メーカーが開発した主電動機は、出力や回転数が異なり、競って性能の向上に努めています。

このように、主電動機は電車や電気機関車の心臓部とも言える重要な役割を果たしており、進化を続けています。今後も技術の進展に伴い、より高性能かつ効率的な主電動機の開発が期待されています。

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