ウイングス・アライアンス

ウイングス・アライアンス：幻の航空連合

ウイングス・アライアンスは、かつて設立を目指していた航空連合であり、ノースウエスト航空、KLMオランダ航空、コンチネンタル航空、アリタリア航空の4社が加盟を予定していました。しかし、最終的には実現することなく消滅しました。この幻の航空連合がどのような経緯で誕生し、そして消滅したのか、その詳細を解説します。

設立の背景

ウイングス・アライアンスの構想は、KLMオランダ航空とノースウエスト航空の提携から始まりました。両社は、観光都市に特化した路線網ではなく、ハブ空港を中心とした路線網を構築するという共通の戦略を持っていました。KLMはアムステルダム、ノースウエストはデトロイトやミネアポリスなどをハブ空港として活用し、効率的なネットワークを築いていました。

この共通の戦略を背景に、両社は単なるコードシェア便の運航にとどまらない、より深い提携関係を築きました。具体的には、機材や設備を共有し、ビジネスクラスを「ワールド・ビジネスクラス」に統一、さらには相互に株式を持ち合うなど、事実上の「運命共同体」となりました。この提携は当時としては画期的なものであり、大きな相乗効果を生み出し、成功を収めました。

コンチネンタル航空の加盟

KLMとノースウエストの提携成功を受け、ノースウエストが出資していたコンチネンタル航空が、この連合への加盟を表明しました。これにより、3社による連合が形成されました。さらに、アリタリア航空にも加盟が打診され、同社もこれを受け入れたことで、4社連合となりました。

アリタリア航空の課題

しかし、アリタリア航空の加盟は、ウイングス・アライアンスに大きな課題をもたらしました。アリタリア航空は、KLMやノースウエストとは異なり、観光客を主なターゲットとした路線網を構築していました。イタリアという観光大国を背景に、自国への訪問客を重視した路線網は、乗り継ぎの利便性に欠けるという問題を抱えていました。

アリタリア航空は、この問題に対処するため、ミラノ・マルペンサ国際空港の改修や、設備の共有化などを進めましたが、ハブ空港が観光都市ローマと経済都市ミラノの2箇所に分散しているため、乗り継ぎルートの改善は難航しました。さらに、アリタリア航空の改革がなかなか進まなかったため、KLMは一方的にアリタリアとの提携を打ち切るという決断に至りました。

ウイングス・アライアンスの消滅とスカイチームへの統合

アリタリア航空との提携解消後、アリタリア航空はエールフランスと提携し、スカイチームに加盟しました。一方で、主要な航空連合から取り残された形となったKLMオランダ航空は、ブリティッシュ・エアウェイズやエールフランスとの合併交渉を進め、最終的にノースウエスト航空、コンチネンタル航空とともに2004年にスカイチームに加盟しました。これにより、ウイングス・アライアンスは事実上消滅し、加盟各社はスカイチームの一員となりました。その後、2009年10月には、コンチネンタル航空がスカイチームを脱退し、スターアライアンスへ加盟しました。

エピソード

KLMとノースウエストの提携直後には、テレビCMが放送されました。このCMでは、まずノースウエストの機体が登場し、徐々にKLMの機体カラーに変化していくというCGが用いられ、両社の提携を印象的に表現していました。

関連事項

* スカイチーム

ウイングス・アライアンスは、短期間しか存在しませんでしたが、その設立と消滅の過程は、航空業界における提携と競争の複雑さを物語るものでした。この幻の連合は、今日の航空連合の形成においても、重要な教訓を残しています。

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