ウェイト版タロット

ウェイト版タロットの魅力と歴史

ウェイト版タロット（Rider Waite Tarot）は、1909年にロンドンのライダー社から発売された、占い用タロットデッキの一つです。このデッキは、アーサー・エドワード・ウェイトの指示に基づき、パメラ・コールマン・スミスがデザインを手掛けました。その素晴らしい絵柄は、アール・ヌーヴォーのスタイルを取り入れたもので、このデッキは商業的に成功を収め、多くのタロットファンから愛され続けています。

ウェイト版の特色と影響

ウェイト版タロットの最も顕著な特徴は、全てのカードに絵が描かれている点です。小アルカナのカードまで含め、視覚的に分かりやすく、占いを行う際にも非常に使いやすくなっています。特に、これまでの伝統とは異なり、大アルカナの中で「正義」と「力」のカードの番号が入れ替えられているのも一つの特徴です。旧来のマルセイユ版タロットでは、カード番号8が「正義」とされ、11が「力」であったのに対し、ウェイト版では番号が逆転しています。

また、このデッキでは「愚者」のカードに0という番号が与えられていることも、結果的にカードの意味付けに影響を与えています。これらの変更は、ウェイトが所属していた魔術結社「黄金の夜明け団」の教義を反映させる意図があったとも考えられています。

デザインに込められた哲学

ウェイト版タロットは、黄金の夜明け団におけるカバラ的な見地を考慮しながら構成されました。この団体は西洋占星術にも強い影響を持ち、その信念がカードの並びやイメージに反映されています。すべてのカードには象徴的な要素が盛り込まれており、単なる占いの道具を超えた精神的な深みが感じられます。

また、パメラ・コールマン・スミスが制作したカードには、色彩においても多くの工夫がなされていたと言われていますが、戦後の印刷技術の向上に伴って本来の色遣いが若干改変されてしまったことがあるようです。そのため、オリジナル版の復刻も行われており、タロット史における重要な側面が現在でも検証されています。

逸話と評価

興味深いことに、パメラ・コールマン・スミスはデザインによる成功の恩恵を受けることなく、わずかな報酬で済まされました。彼女の努力がタロット界におけるイノベーションをもたらしたにも関わらず、その功績は長い間軽視されてきました。しかし、最近では彼女の貢献が認識され、ライダー・ウェイト・スミス版としての名前が定着することで、彼女の地位がより定義づけられるようになっています。

現在の人気

ウェイト版タロットは、占い目的で使用されるデッキの中では最も人気があり、今もなお多くのタロット愛好者に好まれています。そのデザインは、他の多くのタロットデッキに影響を与えており、オカルトタロットのスタンダードとも言える存在です。時代を超えて人々に愛され続けるウェイト版タロットの魅力は、その美しいデザインや深い意味合い、占いにおける実用性に支えられています。

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