ウェイン・スミス (ラグビー選手)

ウェイン・ロス・スミス氏は、1957年4月19日にニュージーランドで生まれた、世界的に著名なラグビー指導者です。選手としても、ニュージーランド代表「オールブラックス」の一員として活躍した経歴を持っています。

選手時代の主なポジションはファースト・ファイブ・エイスでした。地元の州代表選手権であるカンタベリーでそのキャリアをスタートさせ、卓越したプレーで注目を集めました。その実力が認められ、1980年にはオールブラックスに初選出されます。1985年まで代表選手としてプレーし、テストマッチ17キャップを記録しました。

現役引退後、指導者の道へと進んだスミス氏は、まず州レベルの指導を経て、1997年にスーパーラグビーに参戦するカンタベリー・クルセイダーズ（現在のクルセイダーズ）のヘッドコーチに就任しました。当時、チームは中位に甘んじていましたが、スミス氏の指揮のもと、わずか1年で劇的な変貌を遂げます。就任初年度は6位でしたが、翌1998年にはチームを初のスーパーラグビー優勝へと導き、さらに1999年には連覇という偉業を達成しました。この短期間での成功は、彼の指導手腕の高さを証明するものとなりました。

クルセイダーズでの実績が評価され、2000年には低迷期にあったオールブラックスのヘッドコーチに抜擢されます。母国代表の立て直しを託されましたが、残念ながら期待された成績を残すことはできず、2シーズン後の2001年にヘッドコーチを退任することとなりました。

その後、新たな挑戦の場としてイングランドを選び、2001年からイングランドプレミアシップのノーザンプトン・セインツでヘッドコーチを務めました。ここでは、パワーゲンカップ（現在のアングロ・ウェルシュカップ）において、2001年と2002年に連続で準優勝という結果を残しています。

2004年、スミス氏は再びニュージーランド代表に戻ることになります。ノーザンプトン・セインツのヘッドコーチを辞任し帰国すると、グラハム・ヘンリー氏がヘッドコーチを務めるオールブラックスのバックス担当アシスタントコーチに就任しました。この時期、スミス氏は戦術面、特に攻撃におけるクリエイティブなアプローチでチームに貢献し、オールブラックスは2011年のラグビーワールドカップで24年ぶりとなる優勝を果たしました。

オールブラックスを一度離れた後、2012年にはスーパーラグビーのチーフスのコーチングチームに加わります。そして、2015年には再びオールブラックスのアシスタントコーチとして復帰し、2017年までその任を務めました。この復帰期間中にも、オールブラックスは2015年のラグビーワールドカップで史上初の連覇を達成しており、スミス氏の存在はチームの成功に不可欠だったと言えるでしょう。

国際舞台での豊富な経験を持つスミス氏は、日本のラグビー界にも足跡を残しています。2018年シーズンから2年契約で、当時のトップリーグチーム、神戸製鋼コベルコスティーラーズの総監督に就任しました。（この時のヘッドコーチはデーブ・ディロン氏でした。）日本のチームにニュージーランド流の戦術や指導法をもたらしました。

その後、2022年にはラグビー女子ニュージーランド代表「ブラックファーンズ」のヘッドコーチに就任。新たなカテゴリーでの指導に取り組みました。

そして2024年8月、スミス氏は再び日本の地を選び、コベルコ神戸スティーラーズのヘッドコーチとして指揮を執ることとなりました。スーパーラグビーでのタイトル獲得、オールブラックスでのワールドカップ優勝への貢献、イングランドや女子代表での経験など、輝かしい指導者キャリアを持つ彼の新たな挑戦は、日本のラグビーファンから大きな注目を集めています。卓越した戦術眼と選手育成能力を持つスミス氏が、コベルコ神戸スティーラーズをどのように強化し、成功に導くのか、今後の活躍が期待されています。

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