ウェサン島の海戦 (1781年)

ウェサン島の海戦

ウェサン島の海戦（または第二次ウェサン島の海戦）は、1781年12月12日にフランスの護送船団とイギリス艦隊の間で展開された重要な海戦です。場所はフランスの北西に位置するウェサン島の南西約240kmの海域であり、この戦闘はアメリカ独立戦争の中での戦略的対立を象徴しています。

戦闘の経緯

この海戦の発端は、フランスが東インドおよび西インドへの物資と増援を運ぶために編成した護送船団の出発にあります。1781年12月10日、フランスのド・グッシェン伯が率いる19隻の戦列艦がブレストから出航し、護送任務に入ります。この艦隊の一部には、ド・グッシェン直率の14隻の艦船と西インドへの増援5隻が含まれていました。

一方、イギリス艦隊は少将リチャード・ケンペンフェルトの指揮の下、戦列艦13隻（その中には50門艦が1隻含まれていた）を編成し、フランス船団を阻止するために出撃します。12月12日、イギリス艦隊はフランスの護送船団を視認しますが、護衛のフランス艦隊が予想外に強力であることを知り、戦闘には至りませんでした。

フランス艦隊は風下に位置していたため、輸送船を大量に運んでいたにもかかわらず、イギリス艦隊が何隻かを拿捕することができました。しかし、ド・グッシェンの艦隊が効果的に応戦することはできず、結果としてイギリス艦隊の攻撃に対し優位な位置を保てなかったのです。

戦後の動向

この戦闘の後、ケンペンフェルトの艦隊はフランスの護衛艦隊19隻への攻撃が不可能であることを認識しました。それに加えて、輸送船団は北大西洋の嵐のシーズンに出航を強いられたため、戦闘の直後に強風によって分散し、多くが港に戻らざるを得なくなりました。最終的に目的地である西インドに到着したのは、戦列艦2隻と輸送船5隻のわずかでした。

この海戦のニュースがイギリスに届くと、議会の野党は政府に対して輸送船団に対し十分な戦力を送らなかったことを強く非難します。これを受けて、海軍の運営に関する公式な調査が要求される事態となりました。その結果、ノース卿の内閣は1782年3月20日に倒れることとなり、これがアメリカ独立戦争の終結に向けた1783年のパリ条約への道を開くことになります。

参考文献

• - 『図説・イングランド海軍の歴史』小林幸雄、原書房（2007年） ISBN 978-4-562-04048-3

関連項目

• - ウェサン島の海戦 (1778年)

この海戦は、戦争の流れを大きく変える一因となり、また戦略的思考の重要性を示す出来事であったと言えるでしょう。

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