ウェブビーコン

ウェブビーコン(Web beacon)は、ウェブバグ(web bug)とも呼ばれ、HTMLメールやウェブページに埋め込まれた小さな画像などを利用して、閲覧者を識別する技術です。この技術は、ユーザーのオンライン行動を追跡し、マーケティングや広告ターゲティングに利用される一方で、プライバシー侵害の懸念も引き起こしています。

HTMLメールにおけるウェブビーコン


HTMLメールにウェブビーコンを仕込む場合、受信者を識別する符号を付加した``要素が埋め込まれます。この``要素は、メールを開いた際にサーバーにリクエストを送信し、そのリクエストと共に付加された符号がサーバーに伝達されます。これにより、メール送信者は誰がメールを開封したかを知ることができます。特に、送信者側が受信者の個人情報を保持している場合、特定の個人の行動(メールの開封)を把握することが可能になります。

ウェブビーコンに使用される画像は、通常、透明な1ピクセルのGIF画像(クリアGIF)のように、ユーザーに気づかれにくいものが用いられます。これは、ユーザーがウェブビーコンの存在に気づくのを防ぐためです。また、``要素(アンカー要素)にもウェブビーコンを仕込むことができ、ユーザーがリンクをクリックした際に機能します。これはHTMLメールに限らず、ウェブサイトでも利用されます。

HTMLメールにおけるウェブビーコンは、メールがきちんと開封されたかを確認する手段として利用されますが、一方で、ユーザーの行動を追跡し、プライバシーを侵害する可能性も指摘されています。スパム送信者は、この技術を有効なメールアドレスを特定するために利用することがあります。これに対し、多くのメールクライアントやセキュリティソフトは、HTMLメール内の画像を自動的に表示しないように設定されており、ウェブビーコンの追跡をある程度防ぐことが可能です。

ウェブページにおけるウェブビーコン


ウェブページにウェブビーコンが使用された場合、第三者がそのページのアクセス状況を把握することが可能になります。最近では、ウェブビーコンを使用しなくても、サーバーの機能で閲覧者をドメインレベルまで特定することが一般的になっています。ウェブビーコンは、複数のサーバーをまたいでユーザーの閲覧動向を監視することができる点が特徴です。これにより、ユーザーがどのサイトを閲覧したかなどの情報を収集し、行動ターゲティング広告に利用することが可能です。

ウェブビーコンは、Google Analyticsのようなアクセス解析ツールにも利用されており、ユーザーの性別や年齢などの属性情報を収集し、広告配信に役立てています。これらの情報は、ユーザーの興味関心に基づいた広告を表示するために利用される一方、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性も指摘されています。ユーザーは、プライバシー設定を見直し、ウェブビーコンによる追跡を制限することが可能です。

ウェブビーコンは、ユーザーの利便性を向上させる一方で、プライバシーに関する懸念も生じさせています。そのため、ウェブビーコンの利用には慎重な配慮が必要であり、ユーザーは自身のプライバシーを保護するための対策を講じることが重要です。

外部リンク


The Web Bug FAQ (電子フロンティア財団)
HTMLメールのリスクとWebビーコン (インターネットコム)

関連項目


HTTP cookie#トラッキング・クッキー
ビーコン#コンピュータ

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