ウェブブラウザの利用シェア

ウェブブラウザの利用シェアについて

ウェブブラウザの利用シェアとは、ウェブブラウザ市場全体における各ブラウザのユーザー比率を示す指標です。通常、パーセントで表され、どのブラウザがどれだけ利用されているかを把握するために用いられます。この数値は、特定のウェブサイトを訪問するユーザーが使用しているブラウザを計測することで推計されますが、その正確性にはいくつかの課題があります。

利用シェア計測の課題

利用シェアの計測は、ユーザーエージェントが送信するリクエスト数に基づいて行われます。しかし、この方法には以下のようないくつかの問題点があり、計測結果に歪みが生じる可能性があります。

過大評価の要因

自動リクエスト: すべてのリクエストがユーザーによるものではありません。たとえば、アンチウイルスソフトがユーザーエージェントを偽装して自動的にリクエストを送信することがあります。これにより、特定のブラウザの利用シェアが実際よりも高く算出される可能性があります。
ブラウザの再訪問: ブラウザをアップグレードしたり、別のブラウザに変更した後に同じサイトに再訪問した場合、重複してカウントされる可能性があります。
特定のブラウザへの偏り: ウェブサイトが特定のブラウザでのみ正常に表示されるように設計されている場合、他のブラウザからのアクセスが制限され、テスト済みのブラウザの利用シェアが高く表示されることがあります。
プリレンダリング: 一部のブラウザでは、ページを事前に読み込むプリレンダリング機能を使用しています。これにより、実際には表示されなかったページのリクエストがカウントされ、利用シェアが水増しされることがあります。

過小評価の要因

DOMキャッシュ: OperaやFirefoxなどのブラウザは、DOMキャッシュを使用しており、キャッシュされたページを再表示する際にJavaScriptが実行されないため、一部のブラウザ統計追跡システムで過小評価される可能性があります。
キャッシュの利用: ページ履歴をさかのぼる際に、ブラウザによっては新しいページヒットを生成せずにキャッシュされたコンテンツを再利用するため、リクエスト数が過小に計測されることがあります。
HTTPキャッシュ: HTTPキャッシュの仕様に忠実に従うブラウザは、不完全な実装のブラウザと比べて過小に報告される傾向があります。
ユーザーエージェントの除去: 一部のISPでは、ユーザーエージェントの文字列を削除しているため、利用状況が正確に把握できないことがあります。

計測方法の違い

ユニークビジター: 一部の計測機関（Net Applications、W3CCounter）は、ユニークビジター数を使用し、同じユーザーが複数回訪問しても一度しかカウントしません。一方、ページヒット数を計測する機関では、複数回の訪問がすべてカウントされます。
重み付け: Net Applicationsは、国ごとのサンプリングレートのばらつきを修正するために、国レベルでの重み付けを行っています。

過去の利用シェアデータ

様々な調査機関が過去のウェブブラウザの利用シェアデータを収集・公開しています。以下にいくつかの例を挙げます。

StatCounter: 約300万のウェブサイトのヒット数から直接導き出された統計データを提供しています。デスクトップとモバイルブラウザのシェアを分けて公表しており、モバイルとデスクトップを合わせた利用シェアが100%を超えないように調整されています。
Clicky: 2009年9月から2012年4月まで利用シェアデータを公開していました。
W3Counter: 約5万のウェブサイトの最新15,000ページビューをカウントしており、月間訪問者数の多いサイトの影響を制限しています。
Net Applications: 月間1億6000万のユニークビジターを持つ4万のウェブサイトからの統計を基にしています。国別のインターネットユーザー数に基づいた重み付けを行っています。
StatOwl.com: アメリカ市場で圧倒的に利用されており、多くのサイトがStatOwlを利用してモニターしています。
Wikimedia: Wikimedia財団のすべてのプロジェクトへのリクエストに基づいており、月間約40億のページリクエストのサーバーログとユーザーエージェント情報を使用しています。
TheCounter.com: 6つのブラウザと16のバージョンを認識し、それ以外は「Netscape互換」または「不明」に分類します。また、レンダリングエンジンも認識します。
OneStat.com、ADTECH、AT Internet Institute、WebSideStory、GVU WWW user survey、EWS Web Server at UIUC、ZD Market Intelligence、Zona Research、AdKnowledge、Dataquest、International Data Corporation など、様々な企業や機関が過去に利用シェアデータを公開していました。

まとめ

ウェブブラウザの利用シェアは、ウェブブラウザ市場の動向を把握する上で重要な指標ですが、計測方法や様々な要因によって結果が変動する可能性があることに留意する必要があります。これらの情報を総合的に判断することで、より正確な市場分析が可能になります。

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