ウェポン・アルファ

ウェポン・アルファ（Weapon Alpha）

ウェポン・アルファは、アメリカ合衆国が開発した対潜ロケット発射機であり、1944年に開発が始まりました。この兵器は、第二次世界大戦の状況を背景に、従来の対潜兵器の限界に対抗するために設計されました。特に、ドイツのUボートXXI型などの高速潜水艦に対して、強力な対策が求められていた時期に登場しました。

開発の背景

連合国が第二次世界大戦中に使用していた対潜兵器は、爆雷や対潜臼砲などの従来型武器でしたが、水中でのスピードを持つ潜水艦に対しては、効果が薄いことが確認されていました。このため、アメリカ海軍は新型の対潜兵器を必要としており、チャイナ・レイク海軍兵器試験所において、1944年にウェポン・アルファの開発がスタートしました。

開発当初は、250ポンドの弾頭を搭載したモデルAと、50ポンドの弾頭を搭載したモデルBの2種類が構想されましたが、モデルBは威力不足と判断され中止され、その後モデルAが1951年に就役を果たしました。さらに、ウェポン・アルファは、NATOフォネティックコードに基づいて名付けられ、その製品番号はRUR-4Aに決定されました。

仕様と機能

ウェポン・アルファは、爆薬に磁気信管を用いることで、特定のターゲットに効果的に対応できるよう設計されています。ロケットの形状は、前半部が太く後半部が細くなるデザインが特徴で、安定板が後方に配置され、飛行中の安定性を確保しています。非誘導式の兵器であり、地上から空中へロケット推進により発射され、自らの機能を発揮します。海中で目標近くだけで爆発し、潜水艦に大きなダメージを与えることが目的です。

発射機であるMk.108は最初、ボフォースの40mm機関砲を改良したものでした。後に専用設計の発射機が開発され、重量は11,450kgに達しました。発射機は、旋回・仰角を油圧で自動的に制御し、毎秒30度の旋回能力を持つ一方で、仰角は90度まで調整可能です。発射方式も独特で、リング状のマガジンから22発を縦に収納しており、5秒ごとに発射が行えます。

運用と評価

アメリカ海軍では、1969年までにRUR-5 アスロック対潜ミサイルにその役割を移管し、ウェポン・アルファの運用を終了しました。一方で、日本の海上自衛隊もアメリカからこの兵器を供与され、あきづき型護衛艦に搭載されることになりました。しかしながら、不発率が高く、発射に成功したとの記録が無い艦船も多く、結果的に運用は1979年までにM/50 375mm対潜ロケット発射機に代替されました。

結論

ウェポン・アルファは、第二次世界大戦後の潜水艦戦に有効な対応を試みた歴史的な兵器であり、その設計と運用には多くの課題が伴いました。ロケット科学の進展とともに威力を発揮した一方、その実績には賛否が分かれる面もあります。戦後の兵器改良と運用改善の過程でのフィードバックは、次世代兵器の開発にも影響を与え続けています。

もう一度検索