アスロック

RUR-5 アスロック (ASROC)の概要

アメリカ合衆国が開発したRUR-5アスロック（Anti Submarine ROCket, ASROC）は、艦船から発射することができる対潜ミサイルです。この兵器は、長射程での敵潜水艦に対する攻撃能力を持ち、特に水中での目標に対する精度が求められます。

1. 開発の背景

アメリカ海軍は戦後の1948年に初のスキャニング・ソナーであるQHBを開発し、艦隊に配備を進めました。その後、探知性能を向上させたAN/SQS-4|AN_SQS-4が1950年に開発され、この能力を活かして新たな対潜兵器の開発が急務となりました。当時の324mm対潜ロケット砲（ウェポン・アルファ）と比較して、AN/SQS-4|AN_SQS-4の探知距離を利用すればさらに長射程の兵器運用が期待されました。

このような背景の中、1953年に対潜ミサイルの初期型であるRAT（Rocket-Assisted Torpedo）が提案されました。RATは射程が1,500から5,000ヤード（約1,400から4,600メートル）とされ、弾頭には導弾魚雷が用いられることにより、長距離からの攻撃を可能にする設計がなされました。しかし、技術的な問題により1957年に開発は中止。その後、核爆雷を弾頭としたRAT-Cの開発が始まり、得られたデータを基にASROCの開発が進められました。

2. 設計と機能

アスロックの基本設計は、弾頭部分に飛翔用のMk.12ロケット・モーターが取り付けられた形態となっています。弾頭にはMk.44短魚雷やMk.17核爆雷が使用されますが、後には日本製の73式魚雷も用いられています。アスロックの運用は、AN/SQS-23探信儀と統合された水中攻撃指揮装置、発射機といった構成からなります。

特筆すべきは、アスロックが使用するMk.16発射装置です。この装置は8連装の箱型で構成されており、発射時にはランチャー全体が目標に向けて旋回し、発射筒が仰角45度に起きます。ミサイルは無誘導で弾道飛行し、所定の飛翔距離を飛行した後にロケット部分が取り外され、魚雷が水面に着水します。着水時の衝撃によってパラシュートが外れ、魚雷は設定深度まで沈降してから、探索パターンに従って目標捕捉に入ります。

3. 運用国と搭載艦艇

アスロックは、アメリカ海軍をはじめとする多くの国の艦船で使用されています。また、1980年代にはMk 41 VLS対応の派生型RUM-139 VLAが開発・配備され、艦隊の対潜能力をさらに強化しました。

4. 映画やゲームにおけるアスロック

アスロックは映画やゲームでも数多く取り上げられています。映画『駆逐艦ベッドフォード作戦』ではその操作パネルが再現され、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では架空の護衛艦に搭載された武器として登場します。さらに、ゲーム『エースコンバット7』でも艦船がアスロックを使用するシーンがあります。

5. まとめ

RUR-5アスロックは、艦船からの潜水艦攻撃を可能にする革新的な対潜ミサイルであり、その設計は長距離からの攻撃を実現しています。アメリカ海軍にとってこの兵器は重要な戦力であり、今後の運用においてもその役割は続くでしょう。

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