ウェージャーの海戦

ウェージャーの海戦：富と陰謀のカリブ海

ウェージャーの海戦は、1708年6月8日、スペイン継承戦争の最中にカリブ海で発生しました。チャールズ・ウェージャー率いるイギリス艦隊が、スペインの財宝船団を攻撃し、勝利を収めた戦いです。この海戦は、莫大な財宝を巡る人々の欲望と、その後の複雑な歴史を映し出しています。

背景：カリブ海への遠征

1708年春、チャールズ・ウェージャーは以下のイギリス艦隊を率いてカリブ海へ遠征しました。

エクスペディション (70門艦)
キングストン (60門艦)
ポートランド (50門艦)
ヴァルチャー (8門艦、火船)

イギリス艦隊は、カルタヘナ・デ・インディアス近郊で補給を行いました。スペイン当局はイギリス艦隊の接近を察知し、ポルトベロのスペイン艦隊に警戒を促しました。

スペイン財宝艦隊は、商船14隻、武装したハルク船1隻、そして以下の護衛艦3隻で構成されていました。

サン・ホセ (64門艦)
サン・ホアキン (64門艦)
サンタ・クルス (44門艦)

戦闘の経過：財宝を求めて

1708年6月7日、スペイン艦隊はバル島に到着し停泊しました。翌日、ウェージャー率いるイギリス艦隊が接近し、戦闘が開始されました。イギリス艦隊は、財宝を多く積んでいると推測される大型船に集中攻撃を仕掛けました。

キングストンはサン・ホアキンを攻撃しましたが、サン・ホアキンは逃走に成功しました。
エクスペディションはサン・ホセを攻撃し、激しい戦闘の末、サン・ホセは爆発し沈没しました。乗員600名のうち、わずか11名のみが生き残りました。
ウェージャーはサンタ・クルスを拿捕しましたが、サンタ・クルスにはわずかな財宝しか積まれていませんでした。
* サン・ホアキンはカルタヘナへの逃走に成功し、イギリス艦隊は追撃を断念しました。

海戦の結果：富と失望

イギリス艦隊はスペイン船3隻を破壊し、スペインが財宝をヨーロッパに輸送することを阻止しました。ウェージャー自身は富を得ましたが、サン・ホアキンを拿捕できなかったことに失望しました。この失態により、ブリッジスとウィンザー両艦長は軍法会議にかけられました。

その後：沈没船の発見と所有権争い

サン・ホセは沈没し、その財宝とともに海底に眠り続けました。2015年、サン・ホセは発見されましたが、引き上げられることはありませんでした。サン・ホセには、サン・ホアキンと同程度の700万スペイン・ペソ相当の財宝が積まれていたと推定されています。

発見後、サン・ホセの所有権を巡り、コロンビア政府とアメリカの企業との間で訴訟が繰り広げられました。最終的に、アメリカの裁判所はサン・ホセの所有権はコロンビア政府にあるとの判決を下しました。

2015年12月、コロンビア政府はサン・ホセがコロンビア海軍によって発見されたことを公表しました。コロンビアはサン・ホセを海底にある文化遺産とみなし、その位置を国家機密としています。

ウェージャーの海戦は、単なる海戦の勝利にとどまらず、莫大な財宝、国家間の駆け引き、そして歴史のロマンを秘めた出来事として、今もなお語り継がれています。

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