ウエスタンのすべて (下)

『ウエスタンのすべて (下)』

『ウエスタンのすべて (下)』は、1964年の8月に日本ビクターからリリースされた、カントリー・ミュージックのオムニバス・アルバムです。本作の英語タイトルは『The Best of Country and Western, Vol.2』とされており、同時期に発売された『ウエスタンのすべて (上)』と共に、日本のカントリー・シーンにおける重要なシリーズとして位置づけられます。このアルバムは、当時の日本のカントリー界で活躍していた主要なアーティストたちによる演奏を収録しています。

参加アーティストとして名を連ねるのは、原田実とワゴン・エース、寺本圭一とカントリー・ジェントルメン、そして対中俊彦が率いるスモーキー・レインジャースの三組です。それぞれが日本のカントリー・ミュージック黎明期あるいは発展期において中心的な役割を果たしたバンドであり、彼らの高い演奏技術とカントリー音楽への深い理解が、このアルバムに収められた楽曲を通じて伝わってきます。彼らは、アメリカのカントリー・ミュージックの著名な楽曲を、独自の解釈と演奏で披露しています。

アルバムには合計14曲が収録されており、レコードのSide 1とSide 2にそれぞれ7曲ずつ配されています。収録曲には、カントリー音楽のクラシックとも言えるスタンダードナンバーから、当時の人気曲までが含まれており、幅広いカントリー・サウンドを楽しむことができます。

以下に、本アルバムに収録されている全楽曲のリストを記します。

収録曲

Side 1

テネシー・ワルツ
カウ・ライジャ
ジャン・バラヤ
ホンキー・トンク・マン
トム・ドゥーリー
ユー・オール・カム
カントリー・チャーチ

Side 2

北風
愛さずにはいられない
新聞売子のジミー少年
ケンタッキーの青い月
谷間の灯ともし頃
ホーム・スイート・ホーム
ユー・アー・マイ・サンシャイン

これらの楽曲の演奏は、参加アーティストによって分担されています。具体的には、原田実とワゴン・エースはSide 1から「テネシー・ワルツ」「トム・ドゥーリー」「カントリー・チャーチ」を、Side 2から「北風」「愛さずにはいられない」「ユー・アー・マイ・サンシャイン」の合計6曲を担当しました。寺本圭一とカントリー・ジェントルメンは、Side 1収録の「カウ・ライジャ」「ジャン・バラヤ」「ホンキー・トンク・マン」「ユー・オール・カム」の4曲に加え、Side 2の「北風」も演奏しています。対中俊彦とスモーキー・レインジャースは、Side 2の「新聞売子のジミー少年」「ケンタッキーの青い月」「谷間の灯ともし頃」の3曲を手がけました。このように、各バンドがそれぞれの持ち味を活かした選曲と演奏を行っており、多様なカントリー・スタイルがこの一枚に収められています。

『ウエスタンのすべて (下)』は、単なる楽曲集としてだけでなく、1960年代半ばの日本のカントリー・ミュージックシーンを記録した貴重な音源資料としての価値も持っています。当時活躍していた主要アーティストたちの演奏を一度に聴くことができ、日本のプレイヤーがどのようにカントリー音楽を消化し表現していたかを知る手がかりとなります。このアルバムを通じて、日本のカントリー・ミュージックの歴史や、当時の音楽状況に触れることができるでしょう。ライナーノーツに記された情報から、このアルバムが当時のファンにとって重要な一枚であったことがうかがえます。

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