ウエスト・ロード・ブルース・バンド

ウエスト・ロード・ブルース・バンド

ウエスト・ロード・ブルース・バンド（West Road Blues Band）は、1972年に日本の関西地方で結成された、国内ブルースシーンにおけるパイオニア的存在です。1970年代の日本のブルース界を牽引し、後続のミュージシャンやファンに多大な影響を与えました。

バンドは、永井"ホトケ"隆（ボーカル）、塩次伸二（ギター）、山岸潤史（ギター）、小堀正（ベース）、松本照夫（ドラムス）という５人のオリジナルメンバーでスタートしました。彼らは結成初年の1972年9月には、来日した著名なブルースマン、B.B.キングの大阪公演にて前座を務めるという経験をしています。これは、バンドが当時からシーンにおいて注目を集めていたことを示すエピソードです。また、彼らの初期の活動を記録した音源として、1973年にリリースされたライブコンピレーション盤『Live in Magazine No.1/2』があります。

活動を本格化させたバンドは、1975年4月1日にファースト・アルバム『ブルーズパワー』（Bourbon）を発表。これは彼らのキャリアにおける重要なマイルストーンとなりました。同年11月1日にはライブ盤『ライヴ・イン・キョート』（Bourbon）もリリースされ、彼らの熱気溢れるパフォーマンスを捉えています。このライブ音源は、編集を経て『Live In Kyoto』というタイトルで海外（ISLANDレーベル）でも発売され、日本のブルースが国際的に紹介される一助となりました。1975年には、ギタリストの山岸が脱退し、新たにサックス奏者の薩摩光二とピアニストの井出隆一が加入するなど、メンバー編成に変化が生じました。さらに翌1976年には、塩次と薩摩がバンドを離れ、ギタリストの中島正雄が参加しましたが、こうした変遷を経て、バンドは1977年に一度解散を選択しました。

しかし、ウエスト・ロード・ブルース・バンドの歩みはここで終わりませんでした。1984年、結成時のオリジナルメンバー５人が再び顔を揃え、バンドを再始動させます。この再結成に合わせて、同年4月21日にはアルバム『ジャンクション』（Invitation）をリリースし、健在ぶりを示しました。この時期以降、バンドの活動は以前のような継続的なものではなく、単発的なライブを中心に展開されるようになります。特に、アメリカのニューオーリンズに拠点を移していたギタリストの山岸が日本に一時帰国する際には、彼との共演を含むライブが度々企画されました。バンドにとって大きな出来事としては、オリジナルメンバーであり、日本のブルースギターを代表する存在であった塩次伸二氏が、2008年10月19日に急逝されたことが挙げられます。

彼らが残したディスコグラフィーには、『ブルーズパワー』や再結成後の『ジャンクション』といったスタジオ録音のほか、初期の代表的なライブ盤『ライヴ・イン・キョート』、さらには1995年の『ライヴ・イン・ニューヨーク』（ZAIN）などがあります。また、彼らの功績を辿る上で欠かせないベスト盤『ゴールデン☆ベスト』（2005年 徳間ジャパン）もリリースされており、彼らの音楽が幅広い層に届けられています。

ウエスト・ロード・ブルース・バンドは、その結成から一時的な活動休止、そして再始動を経て、常に日本のブルースの可能性を追求し続けてきました。彼らが日本のブルースシーンの黎明期に果たした役割は極めて大きく、その情熱的な演奏とサウンドは、今なお多くの音楽ファンにとって重要な意味を持ち続けています。

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