ウォータージャンプ

ウォータージャンプとは

ウォータージャンプは、フリースタイルスキー（エアリアル、モーグル）の空中演技を安全に練習するために開発された施設であり、競技としても知られています。スキーやスノーボードを装着し、プラスチックブラシが敷かれた滑走路を滑り降り、ジャンプ台から水面に飛び込む構造が特徴です。海外では湖や池が着水地点として利用されることもあります。

概要

元々はエアリアルの練習用に考案されましたが、モーグルの空中演技にも応用されるようになりました。2003年のルール改正で宙返り系の技が解禁されたことが、ウォータージャンプの需要を高める一因となりました。

現在では、エアリアルやモーグルだけでなく、スノーボードやスノースクートなど、多様なフリースタイル競技の練習に利用されています。近年、エアマットに着地するバグジャンプも普及していますが、怪我のリスクを考慮し、ウォータージャンプを支持する愛好家も少なくありません。

国内の歴史

日本初のウォータージャンプは1978年に河口湖に建設されました。その後、1984年には木崎湖にも設置されましたが、当初はエアリアルの選手向けトレーニング施設としての役割が主でした。

国内初の完全人工施設は、福島県猪苗代町のリステルスキーファンタジアに完成しました。水深が深く、3回転ジャンプにも対応した本格的なエアリアル競技用施設であり、その後、白馬村や札幌市にも同様の施設がオープンしました。これらの施設では、安全対策として、雪上でのエアリアル競技の前にウォータージャンプでの技の認定が義務付けられていました。

モーグルやスノーボードの人気が高まるにつれて、これらの競技者もウォータージャンプを利用するようになり、モーグルやスノーボードに特化した施設も全国に多数建設されるようになりました。既存のプール施設を流用することで、コストを抑える試みも行われました。

2009年には、ウインチで牽引されるワイヤーを利用して助走する「ウインチジャンプ」が大磯やよみうりランドに登場しました。

施設概要

ウォータージャンプの施設は、鉄パイプや土、コンクリートの上に木板を貼り、プラスチックブラシを敷いた構造が一般的です。ブラシは雪よりも摩擦が大きいため、滑走路の傾斜は通常よりも急になっています。滑走性を高めるために、ワックスや石鹸が使用されることもあります。

ブラシには、滑りを良くするためにスプリンクラーなどで水が撒かれます。雨天時はブラシ全体が濡れるため、好んで利用する上級者もいます。着水プールの水深は、エアリアル志向の強い施設では深く、最近では水平方向に飛ぶキッカーを備えた施設では、それほど深くはありません。水中から泡を出すことで、着水時の衝撃を緩和する工夫も施されています。

ジャンプ台の種類

ジャンプ台（キッカー）のサイズや形状は施設によって異なります。一般的に、キッカーのサイズはリップからランディングまでの距離で示されますが、技術レベルや天候によって飛距離は大きく変動します。

1メートル以上： 初心者や子供向け。飛ぶ感覚を掴む練習に適しています。
4メートル以上： 初級者向け。ブラシに慣れてきた人が利用します。
7メートル以上： 中級者から上級者まで幅広く利用できるサイズで、バックフリップなどの練習に適しています。
10メートル以上： アスリートや競技志向のスキーヤー・スノーボーダー向け。
モーグル台： モーグルの練習用。SAJの規格に準拠したものや、安全性を考慮して傾斜を緩くしたものがあります。
エアリアル台： エアリアルの競技用。サンアルピナ白馬さのさかスキー場に設置されています。

使用用具

スキー板やスノーボード、ブーツは雪上用をそのまま使用できます。着水に耐えられるウェットスーツや水着を着用し、安全のためにライフジャケット、ヘルメット、手袋を着用します。スキー板が水中で外れないように、リーシュコードで固定することが推奨されます。衝撃に備えて、耳栓や鼻栓、ゴーグルを使用する人もいます。

怪我のリスク

着水地点が水であるため、怪我のリスクは低いとされていますが、横からの着水による鼓膜の損傷や、腹部からの着水による呼吸困難、足からの着水による肉離れなどが起こる可能性があります。ブラシ上での転倒による擦り傷も起こりやすい怪我です。

スポンジピット

着水地点をスポンジの塊に変えた「スポンジピット」という施設もありましたが、安全性の問題から現在はほとんど存在しません。体操競技やフリースタイルモトクロスの練習には現在も利用されています。

国内の施設

現存施設:

リステルスキーファンタジア
サンアルピナ白馬さのさかスキー場
白馬五竜スキー場
S-air（西武園ゆうえんち）
K-air（三重県桑名市）
O-air（大阪府大東市）
若杉高原大屋スキー場
ケッパレランド（岩手県雫石町）
ウォータージャンプ宮城（宮城県川崎町）

過去に存在した施設:

浜名湖
木崎湖
ウォータージャンプ仙台（宮城県仙台市 泉ヶ岳スキー場内）

海外の施設

海外にも多数のウォータージャンプ施設が存在します。

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