ウォーレン・デラルー

ウォーレン・デラルーの生涯と業績

ウォーレン・デラルー（Warren De la Rue, 1815年1月18日 - 1889年4月19日）は、イギリスのアマチュア天文学者、化学者であり、天体写真の分野における先駆者としてその名を歴史に刻んでいます。彼は、現在も紙幣印刷を行うイギリスの老舗印刷会社、デ・ラ・ルー社の創業者であるトーマス・デラルーの息子としてガーンジー島で生まれました。パリで教育を受けた後、父親の事業を手伝いながら、余暇を利用して化学と電気の研究に没頭しました。1836年から1848年の間に、7編もの論文を発表し、その学術的な才能を早くから開花させていました。

天文学への転身と望遠鏡製作

デラルーの興味は、ジェームズ・ナスミスの影響を受けて天文学へと移行しました。1850年には、自ら13インチの反射望遠鏡を製作し、カノンベリー、後にミドルセックスのクランフォードに設置して天体観測を開始しました。彼は、観測した天体の詳細なスケッチを数多く残し、天文学者としての才能を発揮しました。

写真技術の応用と太陽研究

デラルーの最も重要な功績の一つは、天体研究に写真技術を応用した先駆者であったことです。1851年のロンドン万国博覧会で展示されたジョージ・フィリップス・ボンドの月の写真に感銘を受けた彼は、より鮮明な天体写真を撮影するための技術改良に取り組みました。1854年になると、太陽物理学に関心を抱き、太陽撮影装置を独自に開発しました。この装置を用いて14年間にわたり、太陽表面の連続的な写真撮影を行い、その研究に大きく貢献しました。1860年にはスペインでの皆既日食観測を行い、プロミネンスが太陽表面から突出していることを実証しました。

研究活動の終焉と遺産

1873年、デラルーは天文学の観測を続けることを諦め、自身の観測機器をオックスフォード大学に寄贈しました。さらに1887年には、同じく13インチの望遠鏡を国際観測のために寄付し、その研究成果を後世に託しました。彼の情熱は研究活動だけにとどまらず、その成果は後世の研究者たちの大きな礎となっています。

学術的な業績と栄誉

デラルーは、その学術的な貢献が認められ、1850年に王立協会のフェローに選出されました。また、英国化学学会の会長を2度務め、1864年から1866年の間には王立天文学会の会長も歴任しました。1862年には王立天文学会ゴールドメダルを、王立協会からはベーカリアン・メダルと1864年にロイヤル・メダルを授与されました。これらの栄誉は、彼が天文学と化学の両分野において多大な貢献をしたことを証明しています。

まとめ

ウォーレン・デラルーは、天体写真のパイオニアとしての貢献に加えて、化学者、アマチュア天文学者、そして科学への情熱を抱き続けた人物です。彼の研究活動は、後の天文学、特に太陽物理学の発展に大きな影響を与え、その名は今もなお、科学史の中で輝き続けています。

関連項目

* 19世紀生まれの天文学者

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