ウクライナ (ミサイル巡洋艦)

ウクライナのミサイル巡洋艦ウクライナ

概要

ウクライナは、ウクライナのミサイル巡洋艦であり、1164.1号計画の「アトラーント」型ミサイル巡洋艦の4番艦です。元々はソ連の海軍向けに設計され、最終的にウクライナ海軍に編入されました。艦名は「ヴィーリナ・ウクライナ（自由なウクライナ）」とされることもあるが、艦尾には単に「Україна」と刻まれています。

起工から進水まで

ウクライナは1984年にムィコラーイウの造船所で起工され、1985年には艦名が「アドミラール・フロータ・ローボフ」に変更されました。この名前は、海軍上級大将の名に由来しています。1990年、ソ連が崩壊しウクライナが独立した後、艦はウクライナに移管され、「ハルィチナー」と改称されました。しかし、1990年代の経済危機により建造は滞ってしまい、2000年代に入るまで完成しませんでした。最終的には「ウクライナ」という艦名が与えられ、ウクライナ海軍の一部としての存在が期待されました。

経済的背景と完成の難航

ウクライナの経済は非常に厳しい状況にあり、艦の建造資金が問題となったため、艦は95 %の艤装状態で長期間放置されることとなります。結局、2005年以降、ウクライナ政府は巡洋艦の売却を検討しました。初めは中国への売却が計画されましたが、アメリカからの圧力で中止されました。一方、ロシアは艦を再取得する意欲を示していましたが、その後、この艦は「古くなり過ぎた」と評価され、ロシアの興味は薄れました。

売却の試みとその後

2007年には、巡洋艦の売却が正式に決定され、インドや中国が候補として挙がりましたが、なかなか話が進まず、輸出に至ることはありませんでした。ウクライナ海軍は巡洋艦の建造を中止し、小型の艦艇の建造にシフトしていきました。

現状と博物館船の可能性

2014年以降、ウクライナはこの未完成の艦を売却する方針を固めました。その後も売却計画はあったものの、実現には至りませんでした。2023年にはウクライナの国防当局が艦を博物館船にする可能性に言及するなど、新たな展開が期待されているものの、艦は未だにムィコラーイウ造船所に係留されたままとなっています。

まとめ

ウクライナのミサイル巡洋艦は、その設計から現在に至るまで非常に複雑な歴史を持っています。経済的な要因や地政学的な変化などが影響を与え、艦の運命は大きく揺れ動いてきました。現在は博物館船という新たな役割を与えられる可能性があり、将来的にどのような形で評価されるのか注目されるところです。

もう一度検索