巡洋艦

巡洋艦の概要

巡洋艦（じゅんようかん）は、遠洋航行能力と高速性を備えた攻撃力を有する軍艦の一つです。この艦種は時代や国によりさまざまな特徴を持ち、その定義は多岐にわたります。ここでは、巡洋艦の歴史や分類、役割の変遷について詳しく見ていきましょう。

巡洋艦の歴史

巡洋艦の起源は、帆船時代の軍艦にまで遡ることができます。当時の軍艦は、その備砲の数や想定される任務に応じて分類され、64門以上の艦砲を備えた艦は戦列艦と呼ばれ、多数の艦を用いた戦闘戦術によって戦列を形成しました。その一方で、20～50門の砲を持つ艦はコルベットやフリゲートと名付けられ、沿岸防衛や通商破壊などの任務に従事していました。

「クルーズ」という言葉の由来はラテン語の「クルクス」にあり、海上でのジグザグ航行を示していました。17世紀になると、イギリス人は敵船を探し求めての航海にこの言葉を用いるようになり、これが巡洋艦の概念の一部となりました。例えば、1708年に制定された巡洋艦法（Cruisers Act）では、このような艦が単独で行う任務に関連する捕獲の賞金についても触れられています。

南北戦争の時代には、南軍が武装船での通商破壊を行い、その艦は「クルーザー」と呼ばれました。その後、蒸気機関の普及に伴い、イギリス海軍は1868年に装甲船を建造し、巡洋艦の発展が進みました。

装甲帯巡洋艦とその進化

クリミア戦争を経て、装甲を持つ艦隊の価値が見直され、フランスの「ラ・グロワール」やイギリスの「ウォーリア」が進水しました。この結果、装甲艦の時代に突入し、その後イギリスの「シャノン」などにより、装甲帯を持つ巡洋艦の概念が確立されました。

ロシア帝国も「クニャージ・ポジャールスキー」を建造し、防御能力に関する思考が進む中で各国は装甲巡洋艦への投資を行いました。ただし、この形式の艦艇は航洋性能に乏しい傾向が見られ、より軽快な防護巡洋艦へ移行する動きも見られました。

防護巡洋艦からの変遷

イギリス海軍の防護巡洋艦は、1880年代後期以降、速射砲の発展によって脆弱性が露呈しました。この結果、より強力な装甲と機動性を両立させた装甲巡洋艦が登場し、フランスの「デュピュイ・ド・ローム」がその例とされます。

さらに、20世紀に入り、重巡洋艦が登場し、主に砲撃力と防御力の両方を持つ艦が求められるようになりました。特にワシントン海軍軍縮条約の影響を受けた条約型巡洋艦では、軽巡洋艦と重巡洋艦の二つの型が整備され、識別が容易な基準ができました。

ミサイル巡洋艦の時代

第二次世界大戦以降、アメリカとイギリスでは艦対空ミサイルの開発が進み、既存の巡洋艦にミサイル装備を施す改装が実施されました。1960年代には、ソビエト連邦においてもミサイル巡洋艦が開発され、こちらは主に対水上戦を重視した艦としての役割を担いました。

非典型的な巡洋艦の形態

航空母艦の登場により、巡洋艦には飛行甲板を持つ艦が登場しました。これは艦の機能を拡張するもので、過去には様々な型の艦が開発されました。また、潜水艦の中でも巡洋艦の名称が用いられることがあり、ドイツやソ連海軍ではそれを「巡洋潜水艦」と呼ばれることがあります。

結論

巡洋艦は歴史の中で多様な形式に変化し続けてきました。その役割は時代とともに変わり、さまざまな艦種と融合しながら発展を遂げてきたのです。これからも、艦艇としての役割や機能は進化し続けるでしょう。

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