ウクライナの国章

ウクライナの国章は、ウクライナ国家を象徴する重要なシンボルのひとつです。青色の盾に、黄金色の三叉戟（トリズーブ）が描かれたシンプルなデザインが特徴です。このトリズーブは、古代キエフ大公国の紋章に由来するもので、ウクライナの歴史とアイデンティティを象徴するモチーフとなっています。

ウクライナの国章は、大国章と小国章の2種類が存在します。憲法第20条では、両国章の中心要素としてトリズーブの使用が定められています。

1992年2月19日に法律で認定された小国章は、私たちがよく目にする、青地に金のトリズーブを描いたシンプルなものです。一方、大国章は法案で規定されているものの、まだ正式に認定されていません。

大国章の法案によると、その中心には小国章が配置され、小国章は左右から紋章によって支えられています。左側は、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国の紋章であるライオン、右側はウクライナ・コサックの紋章である銃士が、それぞれウクライナ国旗の色を基調としたリボンの上に立って小国章を支えています。さらに、小国章の上にはキエフ・ルーシの大公権を象徴する大公の冠が飾られ、小国章の下にはウクライナ民族のシンボルであるセイヨウカンボクの実と小麦の穂が配置されています。

このように、大国章は小国章を基盤としながらも、歴史的な紋章や民族の象徴を組み合わせることで、ウクライナの歴史と文化をより包括的に表現した、より複雑なデザインとなっています。

ウクライナの国章は、単なる紋章ではなく、ウクライナの歴史、文化、そして国民のアイデンティティを凝縮した象徴です。トリズーブというシンプルなデザインの中に、ウクライナの豊かな歴史と精神が込められています。大国章の正式な制定は未だ実現していませんが、その法案の存在自体が、ウクライナ国民による国家アイデンティティの確立への強い意志を示しています。小国章はウクライナの国旗と並んで、国際社会においてもウクライナを代表する重要なシンボルとして広く認識されています。

ウクライナの国章の歴史をたどると、古代キエフ大公国から現代ウクライナ国家に至るまでの長い歴史と、その中で培われてきたウクライナ国民の精神とアイデンティティを垣間見ることができます。この国章は、単なる装飾品ではなく、ウクライナ国民にとって非常に重要な意味を持つ、国家の象徴であると言えるでしょう。

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