ウシャヒディ

ウシャヒディ(Ushahidi)とは

ウシャヒディ（Ushahidi、「目撃者」または「証言」の意）は、非営利のソフトウェア開発組織です。情報収集と可視化を目的としたオープンソースの地図アプリケーションの開発を行っています。この組織は、社会運動と公的説明責任の手段としてクラウドソーシング手法を採用し、地理情報と市民ジャーナリズムに貢献する「地図作成活動（activist mapping）」という概念を提唱しました。

誕生の背景

ウシャヒディの起源は、2007年から2008年にかけてのケニア危機に遡ります。当時、大統領選挙後の暴力行為が報道規制により十分に伝えられない状況下で、ある弁護士のブログに多くの情報が集まり始めました。しかし、その情報を管理することが困難になったため、2人のプログラマーが72時間で、メールやテキストメッセージで寄せられた情報をGoogleマップ上に表示するウェブサイトを開発しました。これがウシャヒディの始まりです。

技術基盤

ウシャヒディのプラットフォームは、CodeIgniterフレームワークのフォークであるKohanaをベースに構築されています。基本インターフェースにはOpenStreetMapが使用されていますが、ジオコーディングにはGoogleマップAPIの商用サービスが利用されています。この組み合わせにより、ユーザーは地図上で情報を確認し、投稿することが容易になります。

活動内容

ウシャヒディのプラットフォームは、様々な分野で活用されています。

選挙違反の監視: メキシコでは選挙違反の情報を収集・可視化するために利用されました。
災害情報: ハイチ地震やクライストチャーチ地震などの大規模災害時には、被災者や情報提供者間の連絡手段としてウェブサイトが提供されました。これにより、被災地の状況把握や救援活動の効率化に貢献しました。
除雪情報の共有: ワシントンでは、除雪に関する情報を集約し、地図上で表示することで、市民生活の改善に役立てられました。
東日本大震災の支援: 2011年の東日本大震災発生後には、「震災インフォ」というウェブサイトが立ち上げられました。このサイトでは、被災者や震災復興に関する情報が公開され、日本のみならず世界中からのボランティアがページの作成、オープンソースを使った地図作り、情報の収集やフィルタリングなどの活動を支援しました。

社会への貢献

ウシャヒディは、情報技術を活用して社会課題の解決に貢献する、革新的な組織です。市民ジャーナリズムの活性化、災害時の情報共有、選挙監視など、様々な分野でその力を発揮しており、オープンソースソフトウェアの可能性を示しています。

まとめ

ウシャヒディは、ケニア危機をきっかけに誕生し、情報技術を通じて社会に貢献する非営利組織です。その活動は、市民ジャーナリズムと地理情報を組み合わせた「地図作成活動」という新たな概念を提唱し、社会運動や公的説明責任の促進に貢献しています。また、災害時の情報共有や選挙監視など、様々な分野でその技術とプラットフォームが活用されており、今後もその活動に注目が集まります。

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