ウシュマル

ウシュマル (Uxmal)

ウシュマルは、メキシコのユカタン州にある古典期後期から後古典期にかけてのマヤ文明の重要な遺跡です。この遺跡はユカタン半島北西部のプウク地方に位置しており、メリダから南に約78キロメートル、カンペチェへのメキシコ高速自動車国道261号線沿いに位置しています。ウシュマルという名称は、古マヤ語に由来と言われ、「三度にわたって建てられた町」という意味を持つと考えられています。

地理と歴史的背景

プウク地方一帯は豊かな土壌を持ち、ウシュマルを含む周囲の都市は石造りの舗装道路で結ばれており、交易が盛んに行われていました。推定されるウシュマルの人口は、最盛期には約25,000人を数えたとされています。特に10世紀の初めがその繁栄を迎えた時期とされ、チャーフク王のもとでこの都市は栄えました。

近世においては、ウシュマルはシウ家によって支配されており、チチェン・イッツアとの同盟を結んで北部ユカタン全域を支配していました。しかし、1200年以降、主要な建築物の新たな建設は行われず、ウシュマルは次第に衰退していきます。特にシウ家がマニへ首都を移すと、ウシュマルの人口は減少し、最終的に放棄されることとなりました。

現在のウシュマル

今日、ウシュマルは多くの観光客に訪れられるため、建物の整備や復元が進められていますが、一方で考古学的な発掘調査も行われています。遺跡内には、紀元700年から1100年に建造された主要な建物が15以上存在しており、その中には、他の多くのマヤ遺跡に比べて保存状態が非常に良いものもあります。

主な建築物

ウシュマルの中で特に著名な建物には以下が含まれます。

• - 総督の館: 壮大な基壇の上に建設され、豊かな歴史を物語る建物です。
• - 魔法使いのピラミッド: 高さ36.5メートルのピラミッドで、厳しい傾斜の急階段を上ると神殿が層状に存在します。このピラミッドには多くの神話が絡む伝説があります。
• - 尼僧院: 精巧な彫刻が施された美しい回廊を持つ建物で、実際には支配者の宮殿であると考えられています。
• - 大球戯場: 901年に奉献された特徴的なメソアメリカの球技場で、文化的な側面が色濃く残っています。

これらの建物には、雨の神として知られるチャクや、山神と関連する彫刻が見られ、ウシュマルの文化を深く理解する手がかりとなります。

歴史の継承

ウシュマルはメキシコ独立以降、多くの見学者が訪れ、数多くの探検家や考古学者もこの遺跡の魅力に引き寄せられました。特に、1838年にジャン＝フレデリック・ワルデック伯爵が詳細な記録を残したことは、ウシュマルの歴史を知る上で重要な出来事でした。

ウシュマルは、世界遺産としても登録されており、人類の創造的才能の表現や豊かな文化の交流を示す場所として評価されています。そのため、ウシュマルは単なる観光地にとどまらず、マヤ文明の歴史を深く掘り下げるための貴重な遺跡として今後も研究が続けられるでしょう。

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