ウスターの戦い

ウスターの戦い（1651年9月3日）は、イングランド内戦における最終決戦であり、王政復古を目指すチャールズ2世と、共和国軍を率いるオリバー・クロムウェルの間で繰り広げられました。この戦いは、チャールズ1世の処刑（1649年）後のイングランドとスコットランドの政治的、軍事的な対立の頂点として位置づけられます。

戦争の背景
チャールズ1世処刑後、スコットランドはチャールズ2世を王位に迎え入れ、クロムウェル率いるイングランド共和国軍と対立しました。ダンバーの戦い（1650年）での共和国軍の勝利後、スコットランドは抵抗を続けましたが、イングランド軍の侵攻は続き、1651年初頭にはエディンバラが陥落しました。しかし、クロムウェルの病気による一時撤退を機に、スコットランド王党派は再結集し、チャールズ2世の戴冠式が行われました。

チャールズ2世の南進
クロムウェルの回復後、イングランド軍はスコットランド侵攻を再開し、各地で勝利を重ねました。チャールズ2世は、イングランド本国の守備が手薄な状況を突いて南進を決断します。この決断はスコットランド軍司令官レズリーと意見が対立するものでしたが、最終的にはチャールズ2世の意向に従うこととなりました。チャールズ2世は8月6日にイングランド王を宣言し、各地の王党派への呼びかけと共に南下を開始。しかし、イングランドの主要王党派の動きは共和国軍に監視されており、ロンドンでは王党派の武器などが没収されていました。

ウスターへの進軍と戦いの展開
イングランド軍は、チャールズ2世の軍を阻止するため、ウォリントン・ブリッジの戦いを経てウスターに到達しました。チャールズ2世はウスターで王党派の結集を図りましたが、期待されたほどの支持は得られませんでした。一方、クロムウェルはイングランド東部から急行し、フリートウッド、ランバートらと合流、3万以上の軍勢でウスターを包囲します。

ウスターの戦いは、クロムウェルの巧みな戦略と指揮の下に進められました。共和国軍は、ウスターへの増援と退路を遮断する部隊、ウスターの東部から攻撃する本隊、南側から迂回攻撃を仕掛ける部隊の三隊に分割されました。激しい戦闘の末、共和国軍はウスター守備軍を撃破し、チャールズ2世は敗走しました。

戦いの結果と影響
ウスターの戦いは、クロムウェルにとって最後の前線指揮となる戦いでした。この勝利は、イングランドとスコットランドにおける共和国軍の圧倒的な軍事力を示し、チャールズ2世をフランスへの亡命に追い込みました。スコットランド王党派は壊滅的な打撃を受け、イングランドにおける王党派の勢力は完全に瓦解しました。しかし、チャールズ2世は逃亡に成功し、王政復古の希望を残すこととなりました。ウスターの戦いは、イングランド内戦に終止符を打ち、クロムウェルの護国卿体制確立への道を開いた、重要な戦いであったと言えるでしょう。

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