ウチの場合は

ウチの場合は

『ウチの場合は』は、漫画家・森下裕美が手がける日本の四コマ漫画作品です。主に毎日新聞の夕刊（夕刊が発行されない地域では朝刊統合版）に掲載されています。

概要

本作は大門家を主要な登場人物として、彼らの平凡ながらも笑いに満ちた日常を描写しています。新聞連載の漫画としては珍しく、吹き出し内のセリフが手書きではなく活字で表現されているのが特徴の一つです。連載は2002年1月4日に開始され、当初は加藤芳郎氏の『まっぴら君』の中断に伴うリリーフとしての掲載でしたが、同年11月には正式な連載作品へと昇格しました。連載回数は長く続き、2019年12月25日時点では5000回に達しています。ただし、不定期に長期休載を挟むことがあります。単行本は毎日新聞社から刊行されていましたが、2012年7月発行の第15巻以降、新たな巻は出ていません。

主な登場人物

物語の中心となるのは、広告代理店勤務の父・大門バン、専業主婦の母・大門キョウコ、しっかり者で男勝りな小学5年生の長女・大門アサカ、そして可愛らしい容姿で女の子と間違えられる小学2年生の長男・大門ユウヤの四人家族です。さらに、バンに拾われ家族の一員となった雑種の小型犬モアちゃんも重要なキャラクターです。

大門バン：新潟県出身。仕事熱心ですが、食いしん坊が高じてメタボリックと診断されることも。普段は温厚ながら、食べ物のこととなると感情的になる一面も持ちます。肥満対策でジョギングを試みるも、なかなか習慣化しないようです。
大門キョウコ：京都府出身。優しく料理上手で、京都女性らしい芯の強さも併せ持ちます。
大門アサカ：我が強くしっかり者ですが、怒りっぽいところがあり、時には衝動的な行動も。アトピーや花粉症に悩まされていますが、空手教室に通う活動的な面も。
大門ユウヤ：可愛らしい外見とは裏腹に、そう見られることを嫌がります（ただし母に対しては例外）。温和で周囲に気を配れる性格で、少年野球にも参加しています。
* モアちゃん：拾われたブサかわいい容姿の犬。かなりの大食漢で、ダイエットを命じられたことも。短気で嫉妬深く、近所の犬との関係はあまり良好ではないようです。

この一家を取り巻く人々として、バンの弟であるおじさん、京都と新潟に住む祖父母といった親族に加え、個性豊かなマンションの住人たちが多数登場します。例えば、キョウコの友人で老け顔だが実年齢より若いモモコさんとその夫（シェフ）、ユウヤよりも大柄で力の強い健康優良児の女の子ミトちゃんとその家族、ズボラだったが犬を飼って生活が変わったライターの内藤さん夫妻と愛犬バナナちゃん、そして大家さん夫妻と飼い犬マフちゃんなど、バラエティに富んでいます。

また、アサカやユウヤの通う小学校の先生方（童顔で子供っぽいユウヤの担任・小坂先生、だらしない一面のあるアサカの担任・桜井先生など）や、彼らの友人たちとその家族も物語を彩ります。アサカの友人には、女の子らしいミホや大人っぽい雰囲気の吉田フミエなどが、ユウヤの友人には、賢いが鈍臭い信一やダイエットに成功した父を持つ大地などがいます。

バンの勤務する広告代理店の部長や部下たち、近所の喫茶店のマスターやウェイトレス、ウンチクおじさん、英会話のチャールズ先生など、多種多様な人々が登場し、それぞれの個性が織りなす人間模様が描かれています。

作品の特徴と魅力

『ウチの場合は』は、こうした多岐にわたる登場人物たちが織りなす日常的な出来事を、四コマ漫画ならではのテンポとユーモアで描いています。特別な事件が起こるわけではなく、家庭内でのやり取り、近所付き合い、学校生活、職場での出来事といった身近な題材が中心です。キャラクターそれぞれの個性や、時に見せる人間らしい欠点、小さな喜びや悩みなどが丁寧に描かれており、読者は登場人物たちの生活に親しみを感じることができます。特に、ミトちゃんのように作中で成長していくキャラクターが描かれるなど、時間の経過が感じられる描写がある点も特徴的です。吹き出しが活字である点も、他の新聞漫画とは異なるユニークな点として挙げられます。同時期に他の新聞の夕刊に連載されていた『地球防衛家のヒトビト』（朝日新聞）や『オフィス ケン太』（読売新聞）と比較されることもあります。

全体として、温かくユーモラスな筆致で描かれた、日本の家庭と地域社会の日常を映し出す作品と言えるでしょう。

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