まっぴら君
『まっぴら君』は、漫画家・加藤芳郎氏によって描かれた日本の4コマ漫画作品です。主に毎日新聞の夕刊に、長きにわたって連載されました（夕刊が発行されない地域では朝刊の統合版に掲載）。
連載が始まったのは1954年（昭和29年）1月5日。初回のエピソードは、連載開始のわずか3日前に発生した「二重橋事件」を題材にするなど、当時の社会情勢やニュースを即座に反映させるスタイルが特徴でした。初期の頃は、タイトルの示す通り「まっぴら君」という名のキャラクターを主人公に据え、その視点から世相や社会に対する批判的な姿勢、すなわち「真っ平御免」（断固拒否、お断り）というメッセージを込めた内容が多く描かれていました。
しかし、連載開始から約一年が経過した頃、作風に変化が見られました。特定の固定された主人公が登場する形式から、日替わりでシチュエーションや登場人物を変えるオムニバス形式へと移行したのです。この変更により、作品はより多様な視点から世の中の出来事を切り取るようになりました。特に印象的なのは、無人島に暮らす親子や老人といったキャラクターが登場し、彼らの日常的な会話を通じて、その時々の重要な時事問題や社会現象が風刺的に、あるいはユーモラスに語られるというスタイルです。これは、特定の個人ではなく、普遍的な視点から現代社会を描こうとする作者の意図が表れたものと言えるでしょう。作品のタイトル『まっぴら君』は、このように特定の主人公を指すのではなく、社会の矛盾や不条理に対する「まっぴらだ」という作者の姿勢、あるいは作品全体が持つ風刺精神を象徴しているとも解釈できます。
『まっぴら君』は長期にわたる連載となり、1988年（昭和63年）2月12日には、記念すべき連載10000回を達成しました。しかし、2000年代に入ると、作者の加藤氏が健康上の不安を抱えるようになり、連載の継続が難しくなります。2001年（平成13年）6月23日の掲載を最後に、惜しまれつつも連載は中断されました。その後、残念ながら加藤氏の健康状態が十分に回復することはなく、連載の再開は実現しませんでした。そして、2002年（平成14年）11月5日に、約1年半の中断期間を経て正式に完結が発表されました。
1954年から2002年まで、約47年間にわたる連載の総回数は、通算13615回に及びました。この回数は、連載が終了した2002年当時、単一のタイトルで新聞に連載された4コマ漫画としては、歴代で最も長い記録でした。新聞漫画の世界には、長期連載の例が多く存在しますが、『まっぴら君』の記録は特筆すべきものでした。
ただし、この記録について補足が必要です。例えば、中日新聞をはじめとするブロック紙3社連合加盟の新聞に連載されていた佃公彦氏の『ほのぼの君』は、通算15451回を数えており、『まっぴら君』の回数を上回っていました。しかし、『ほのぼの君』は連載途中に長期の休載期間があったり、『ちびっこ紳士』などとタイトルを変更・復題しているため、純粋に「単一タイトルでの継続連載記録」という定義においては、『まっぴら君』が最長とされていました。
その後、『まっぴら君』が樹立した13615回という記録は、複数の後続の新聞連載4コマ漫画によって更新されています。主な例としては以下の作品が挙げられます。
『ほのぼの君』（佃公彦、東京新聞、中日新聞他）
1955年から2007年まで連載。旧『ほのぼの君』から『ちびっこ紳士』への改題、そして新『ほのぼの君』としての復題を経ており、これらの合計回数が15451回となります。
『ジャンケンポン』（泉昭二、朝日小学生新聞）
1969年から2023年3月末まで連載。2013年1月17日に連載13616回を達成し、『まっぴら君』の記録を更新しました。最終的な総回数は16362話に上ります。作者の泉昭二氏は連載完結と同年の10月に亡くなりました。
『まんまる団地』（オダシゲ、しんぶん赤旗）
1974年に連載開始。2014年1月29日に連載13616回を達成し、『まっぴら君』の記録を更新しました。2023年現在も連載が続いており、回数を伸ばしています。
『アサッテ君』（東海林さだお、毎日新聞）
1974年から2014年まで、毎日新聞の朝刊に連載されました。2014年8月1日に連載13616回に到達し、『まっぴら君』の記録を更新しました。特に、子供向け新聞や政党機関紙を除く一般全国紙に連載された4コマ漫画としては、これが最長記録となりました。同年12月31日に13749回で完結しており、毎日新聞における連載漫画としては、『まっぴら君』（夕刊）の13615回を抜き、歴代最長記録を樹立しています。
* 『コボちゃん』（植田まさし、読売新聞）
1982年に連載開始。2021年1月7日に連載13750回を達成し『アサッテ君』の記録を更新しました。2023年現在も連載中です。
これらの記録を概観すると、一般全国紙において単一タイトルで長期連載された4コマ漫画としては、『まっぴら君』が長らく最長の地位を占め、その後、同じ毎日新聞の『アサッテ君』にその座を譲り、現在は読売新聞の『コボちゃん』が記録を更新し続けている、という歴史的な流れが見て取れます。
単行本については、連載10000回を達成した1988年を契機として、毎日新聞社から「傑作選」シリーズが刊行されました。これは月1冊のペースで、合計10巻が出版されています。
『まっぴら君』は、約半世紀にわたり、そのユニークな視点とスタイルで日本の社会と向き合い続けた、新聞漫画史における重要な作品の一つと言えるでしょう。
連載が始まったのは1954年（昭和29年）1月5日。初回のエピソードは、連載開始のわずか3日前に発生した「二重橋事件」を題材にするなど、当時の社会情勢やニュースを即座に反映させるスタイルが特徴でした。初期の頃は、タイトルの示す通り「まっぴら君」という名のキャラクターを主人公に据え、その視点から世相や社会に対する批判的な姿勢、すなわち「真っ平御免」（断固拒否、お断り）というメッセージを込めた内容が多く描かれていました。
しかし、連載開始から約一年が経過した頃、作風に変化が見られました。特定の固定された主人公が登場する形式から、日替わりでシチュエーションや登場人物を変えるオムニバス形式へと移行したのです。この変更により、作品はより多様な視点から世の中の出来事を切り取るようになりました。特に印象的なのは、無人島に暮らす親子や老人といったキャラクターが登場し、彼らの日常的な会話を通じて、その時々の重要な時事問題や社会現象が風刺的に、あるいはユーモラスに語られるというスタイルです。これは、特定の個人ではなく、普遍的な視点から現代社会を描こうとする作者の意図が表れたものと言えるでしょう。作品のタイトル『まっぴら君』は、このように特定の主人公を指すのではなく、社会の矛盾や不条理に対する「まっぴらだ」という作者の姿勢、あるいは作品全体が持つ風刺精神を象徴しているとも解釈できます。
『まっぴら君』は長期にわたる連載となり、1988年（昭和63年）2月12日には、記念すべき連載10000回を達成しました。しかし、2000年代に入ると、作者の加藤氏が健康上の不安を抱えるようになり、連載の継続が難しくなります。2001年（平成13年）6月23日の掲載を最後に、惜しまれつつも連載は中断されました。その後、残念ながら加藤氏の健康状態が十分に回復することはなく、連載の再開は実現しませんでした。そして、2002年（平成14年）11月5日に、約1年半の中断期間を経て正式に完結が発表されました。
1954年から2002年まで、約47年間にわたる連載の総回数は、通算13615回に及びました。この回数は、連載が終了した2002年当時、単一のタイトルで新聞に連載された4コマ漫画としては、歴代で最も長い記録でした。新聞漫画の世界には、長期連載の例が多く存在しますが、『まっぴら君』の記録は特筆すべきものでした。
ただし、この記録について補足が必要です。例えば、中日新聞をはじめとするブロック紙3社連合加盟の新聞に連載されていた佃公彦氏の『ほのぼの君』は、通算15451回を数えており、『まっぴら君』の回数を上回っていました。しかし、『ほのぼの君』は連載途中に長期の休載期間があったり、『ちびっこ紳士』などとタイトルを変更・復題しているため、純粋に「単一タイトルでの継続連載記録」という定義においては、『まっぴら君』が最長とされていました。
その後、『まっぴら君』が樹立した13615回という記録は、複数の後続の新聞連載4コマ漫画によって更新されています。主な例としては以下の作品が挙げられます。
『ほのぼの君』（佃公彦、東京新聞、中日新聞他）
1955年から2007年まで連載。旧『ほのぼの君』から『ちびっこ紳士』への改題、そして新『ほのぼの君』としての復題を経ており、これらの合計回数が15451回となります。
『ジャンケンポン』（泉昭二、朝日小学生新聞）
1969年から2023年3月末まで連載。2013年1月17日に連載13616回を達成し、『まっぴら君』の記録を更新しました。最終的な総回数は16362話に上ります。作者の泉昭二氏は連載完結と同年の10月に亡くなりました。
『まんまる団地』（オダシゲ、しんぶん赤旗）
1974年に連載開始。2014年1月29日に連載13616回を達成し、『まっぴら君』の記録を更新しました。2023年現在も連載が続いており、回数を伸ばしています。
『アサッテ君』（東海林さだお、毎日新聞）
1974年から2014年まで、毎日新聞の朝刊に連載されました。2014年8月1日に連載13616回に到達し、『まっぴら君』の記録を更新しました。特に、子供向け新聞や政党機関紙を除く一般全国紙に連載された4コマ漫画としては、これが最長記録となりました。同年12月31日に13749回で完結しており、毎日新聞における連載漫画としては、『まっぴら君』（夕刊）の13615回を抜き、歴代最長記録を樹立しています。
* 『コボちゃん』（植田まさし、読売新聞）
1982年に連載開始。2021年1月7日に連載13750回を達成し『アサッテ君』の記録を更新しました。2023年現在も連載中です。
これらの記録を概観すると、一般全国紙において単一タイトルで長期連載された4コマ漫画としては、『まっぴら君』が長らく最長の地位を占め、その後、同じ毎日新聞の『アサッテ君』にその座を譲り、現在は読売新聞の『コボちゃん』が記録を更新し続けている、という歴史的な流れが見て取れます。
単行本については、連載10000回を達成した1988年を契機として、毎日新聞社から「傑作選」シリーズが刊行されました。これは月1冊のペースで、合計10巻が出版されています。
『まっぴら君』は、約半世紀にわたり、そのユニークな視点とスタイルで日本の社会と向き合い続けた、新聞漫画史における重要な作品の一つと言えるでしょう。
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