ウディ・アレン会見

ジャン＝リュック・ゴダール監督による1986年製作の短編ビデオ映画『ウディ・アレン会見（Meetin' WA）』は、ゴダールがウディ・アレンにインタビューを行うドキュメンタリー作品です。この作品は、1985年のカンヌ国際映画祭での出来事が発端となっています。

ゴダールは、映画プロデューサーのメナヘム・ゴーランと会食した際に、ノーマン・メイラーをリア王、ウディ・アレンを道化役に据えたシェークスピアの『リア王』の映画化を提案し、なんとレストランのナプキンにサインをして契約を交わします。この映画の製作には、トム・ラディがプロデューサーとして携わっています。

当時、アレンは翌年のカンヌ国際映画祭で新作『ハンナとその姉妹』の上映を控えており、カンヌへの出演を控え、やや緊張していました。そこで、ラディはゴダールに『リア王』の製作を延期し、その間にアレンへのインタビューを行い、映画祭でサプライズ上映するというアイデアを提案します。この提案は、ゴダール、アレン、そしてカンヌ映画祭のディレクターであるジル・ジャコブにも受け入れられ、映画祭とスイスのテレビ局から資金を得て製作されました。

この作品は、単なるインタビューにとどまらず、ゴダールの独創的な演出によって、非常にクリエイティブな映像作品に仕上がっています。撮影は、写真家のクリスチャン・シモンピエトリと、ゴダール作品に携わった経験のあるピエール・バンジェリが担当しました。また、アネット・インスドルフがジャーナリストとしてクレジットされています。

作品は、黒画面に「MEETIN' WA」という白抜きの文字で始まり、ゴダールの声が聞こえるところからスタートします。カメラが引くと、ニューヨークのアレンのオフィスで、窓の外を見つめるアレンの背中に顔が重なって映し出されます。サイレント映画で多用されたアイリスアウトの手法を用い、インタビューが始まり、アレンが紹介されます。インタビューの進行に合わせて、「NORMAL MAN」「STRUGGLE」「TITLE」といったキーワードが画面に挿入され、アレンの過去の作品である『インテリア』『マンハッタン』などのフィルムクリップも登場します。また、オーソン・ウェルズやエリザベス・テイラーなどの映像も含まれています。

この作品の発案者であるトム・ラディは、ゴダールが関わった過去の作品にも出演やスタッフとして参加した経歴があり、映画界のキーパーソンとしての深い知識と経験が、この作品の誕生に大きく貢献しました。彼は、ゴーランとの契約書となった「伝説のナプキン」をゴーランが燃やした瞬間を目撃した人物でもあります。

『ウディ・アレン会見』は、カラーのビデオ作品で、上映時間は26分、アスペクト比は1:1.37です。ゴダール監督、アレンとインスドルフの脚本、アレンとゴダールの出演という、豪華な顔ぶれが実現した、映画史に残る貴重な作品となっています。

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