ウニヴェルザール出版社

ウニヴェルザール出版社（Universal Edition）は、クラシック音楽の分野で世界的に知られる出版社です。1901年にオーストリアのウィーンで創業し、当初はオーストリア国内のクラシック音楽の楽譜や教育関連書籍の出版を手がけていました。当時のオーストリアの音楽出版市場は、ライプツィヒの企業が中心となっていました。

しかし、ウニヴェルザール出版社はその後、規模を拡大し、近代音楽、現代音楽の主要な出版社としての地位を確立しました。その転機となったのは、1904年のアイブル出版社（Aibl Verlag）との合併です。この合併により、リヒャルト・シュトラウスやマックス・レーガーといった著名な作曲家の多くの楽譜の出版権を獲得しました。

さらに、1907年にエミール・ヘルツカ（Emil Hertzka）が社長に就任したことが、ウニヴェルザール出版社を新音楽へと大きく飛躍させる原動力となりました。ヘルツカのもとで、1908年にはバルトークやディーリアス、1909年にはマーラー、シェーンベルク、1910年にはヴェーベルン、ツェムリンスキー、1912年にはシマノフスキ、1917年にはヤナーチェクなど、現代音楽の重要な作品の版権を次々と獲得しました。また、シェーンベルクの協力により、ベルクの作品も多く手がけるようになりました。

第二次世界大戦後も、ウニヴェルザール出版社は前衛音楽への取り組みを続け、ベリオ、ブーレーズ、フェルドマン、カーゲル、クルターグ、リゲティ、シュトックハウゼンといった、現代音楽を代表する作曲家たちの作品を出版しています。

ウニヴェルザール出版社は現代音楽だけでなく、歴史的な作品の出版にも力を入れており、モンテヴェルディの全集などを出版しています。また、1972年からはショット社（Schott Music）と共同で、ウィーン原典版の出版を開始しました。このウィーン原典版では、J.S.バッハからブラームスまでの独奏曲や二重奏曲、そして後にヒンデミットの「Ludus Tonalis」なども手がけられました。

ウニヴェルザール出版社は、クラシック音楽、特に近代・現代音楽の発展に大きく貢献してきた出版社であり、その活動は今日においても、多くの音楽家や音楽愛好家から高く評価されています。



[関連項目]

チェレプニン・コレクション


[外部リンク]

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