チェレプニン・コレクション

チェレプニン・コレクション

チェレプニン・コレクション（Collection Alexandre Tcherepnine）は、ロシア出身の作曲家アレキサンダー・チェレプニンが1930年代に日本と中国の作曲家による作品を発表した楽曲のシリーズです。チェレプニンは、移住先のフランスで活動する中で、東アジアの音楽に対する強い関心を持ち、その研究と普及に尽力しました。

背景

アレキサンダー・チェレプニンは、1934年から1937年まで主に上海に住み、この期間に日本の作曲家たちとの交流がありました。特に新興作曲家連盟の近しい関係にあった彼は、清瀬保二、松平頼則、伊藤昇、早坂文雄といった若手作曲家たちと密接に関わりました。作曲家たちは自らの作品をチェレプニンに見せ、彼からの指導を求めることもありました。彼が日本の作品が国内で出版されにくい状況を理解すると、その作品をアメリカで出版・流通させることを決意しました。

コレクションの展開

1935年4月には、チェレプニン・コレクションの第一集が、ユニヴァーサル楽譜の日本代理店である龍吟社から出版され、以降次々に新作が追加されました。最終的には日本と中国の作曲家による39点の作品が出版され、これにはピアノ曲、歌曲、室内楽、管弦楽のスコアが含まれています。国際的にもニューヨーク、ウィーン、パリで販売され、これにより東アジアの作品が世界に紹介されました。コレクションの表紙には、作曲家の小船幸次郎によるイラストが採用されています。

作品の内容

チェレプニン・コレクションには、日本の作曲家55名、及び中国の作曲家の作品が取り上げられています。注目作品には、伊福部昭による『日本狂詩曲』や、同じく松平頼則の『パストラール』などがあります。また、各作曲家が表現した独自のスタイルや技法が色濃く反映され、その多様性が際立っています。

日本の作品

• - 伊福部昭: 日本狂詩曲 (1935)【No.24】
• - 伊福部昭: 盆踊 (1933)【No.26】
• - 江文也: フルート・ソナタ「祭典」 (1936)【No.37】
• - 松平頼則: フルート小奏鳴曲 (1936)【No.11】

中国の作品

• - 賀緑汀: 牧童短笛 (Pf)【No.1】
• - 劉雪庵: 三歌曲 (中低声)【No.3】

まとめ

チェレプニン・コレクションは、アレキサンダー・チェレプニンの音楽への貢献を印象づけるとともに、同時代の日本や中国の作曲家たちがどのようにしてその作品を表現していったかを知るための貴重な資料となっています。このコレクションを通じて、アジアの音楽がいかに国際的に評価されるようになったのかを深く考察することができます。

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