ウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館：ルネサンスの至宝を収める、ヨーロッパ最古の美術館

ウフィツィ美術館は、イタリア・フィレンツェにある世界的に有名な美術館です。ルネサンス絵画の中心地として知られ、その圧倒的なコレクションの質と量から、イタリア国内のみならず世界中の美術愛好家を魅了しています。1591年から部分的に公開されており、近代美術館としてはヨーロッパ最古の一つに数えられます。1982年には、フィレンツェ歴史地区の一部として世界遺産に登録されました。

建物の歴史とメディチ家のコレクション

美術館の建物は、1560年に着工、1580年に竣工したルネサンス様式の壮麗な建築物です。初代トスカーナ大公コジモ1世の命により、建築家ジョルジョ・ヴァザーリによって設計されました。当初はフィレンツェの行政機関として使用されており、その名称「ウフィツィ」はイタリア語で「事務所」を意味する「uffici」に由来します。アルノ川沿いに位置し、基底部分には当時としては革新的なコンクリート工法が用いられたと言われています。

コジモ1世は、自身の住まいであるピッティ宮殿からウフィツィまで、約1kmにわたる専用通路「ヴァザーリの回廊」も建設しました。この回廊もヴァザーリの設計によるもので、700点以上の絵画が飾られています。

16世紀後半から、ウフィツィではメディチ家が収集した古代彫刻や美術品が収蔵・展示されるようになりました。特に、3階にある八角形の部屋「トリブーナ」は、豪華な装飾が施された美術品の展示空間として注目を集めました。1591年から一般公開が始まり、美術館としての歴史が本格的にスタートしました。

1737年、メディチ家の断絶後、唯一の相続人であったアンナ・マリア・ルイーザが、コレクションをトスカーナ政府に寄贈。その条件として、コレクションがフィレンツェにとどまり、一般に公開されることが求められました。その後、ハプスブルク＝ロートリンゲン家のレオポルド1世の時代には、コレクションの整理・分類が進められ、美術館としての整備がさらに進みました。

1993年には、美術館近辺で発生した自動車爆弾テロにより、建物や一部コレクションが被害を受けました。

膨大なコレクション：イタリア・ルネサンス絵画の宝庫

ウフィツィ美術館は、2階と3階が展示室となっており、デッサンや版画、そして数多くの油絵が展示されています。そのコレクションは、イタリア・ルネサンス絵画を中心に、古代ギリシャ・ローマ彫刻からバロック、ロココ様式に至るまで幅広く網羅されています。

特に、13世紀末から16世紀にかけてのイタリア絵画コレクションは、質・量ともに世界最高峰と言われています。ボッティチェリの作品群は特に充実しており、その傑出したコレクションは他に類を見ません。また、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロといった巨匠の作品に加え、シモーネ・マルティーニ、マサッチオ、フラ・アンジェリコなど、初期ルネサンスや国際ゴシック様式を代表する画家たちの作品も豊富に展示されています。

イタリア絵画以外にも、初期フランドル派、ドイツ・ルネサンス、17世紀フランドル・オランダ絵画、そしてフランスやスペインの絵画など、ヨーロッパ各地の重要な作品が数多く収蔵されています。さらに、多くの画家の自画像コレクションも美術館の大きな魅力の一つです。近年では、日本の版画家・浜田知明の作品や、東京富士美術館からの寄贈作品なども加わっています。

美術館を訪れる観光客への情報

サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から徒歩約20分とアクセスも良好です。開館時間は季節によって異なり、ピークシーズン（3月1日～10月31日）は20ユーロ、ローシーズン（11月1日～2月28日）は12ユーロの入場料が必要です。インターネット予約が推奨されており、音声ガイド（イタリア語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、日本語）も利用できます。休館日は月曜日、1月1日、5月1日、12月25日ですが、毎月第一日曜日は無料入場となっています。

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