ウベア島 (ニューカレドニア)

ウベア島：南太平洋に浮かぶ三日月形の楽園

ウベア島は、ニューカレドニアのロイヤルティ諸島北部に位置する環礁の島です。その特徴的な三日月形の主島は、西側が穏やかな礁湖に面し、20キロメートルに及ぶ白砂のビーチが広がっています。一方、東側は荒々しい南太平洋に面しており、対照的な自然の風景を見ることができます。南に位置するムリ島とはムリ橋で結ばれており、二つの島を合わせると全長35.5キロメートルになります。

地理

島の幅は5キロメートルから6キロメートルと細長く、最も狭い場所では400メートルから500メートルほどです。ムリビーチの対岸にはファヤワ島が位置しています。島の中心地はファヤウェ村にあり、人々の生活の中心となっています。

歴史

ウベア島には、ポリネシア系の住民が南部と北部に暮らしており、彼らの祖先はウォリス・フツナ島から渡来したと考えられています。その後、グランドテール島の東海岸からメラネシア系の民族が移住し、伝説によれば両民族間で対立があったとされています。このため、南部と北部ではポリネシア系の西ウベア語が、中央部ではメラネシア系のイアイ語が使われています。

生活

島の人口は約4,300人で、南部のフェアウェ村が中心地となっています。ここでは、病院、教会、学校、郵便局、商店などが整備されており、島民の生活を支えています。島内には公共の交通機関はありませんが、タクシーやレンタカーが利用可能です。ヌメアのマジェンタ空港へは、国内線のエア・カレドニアで約35分のフライトでアクセスできます。

過去の事件

1988年4月には、独立推進派のカナックが警察官を殺害・拉致し、洞窟に立て篭もるという事件が発生しました。フランス政府は特殊部隊を投入して鎮圧しましたが、この際、制圧後に無抵抗だったカナックが暴行・射殺されたという疑惑が残っています。この事件は後に映画化され、その真相に光を当てようと試みられています。

観光

過去の事件や島民によるホテル建設計画への反対運動など、政情が不安定だったため、1990年代半ばまで観光が規制されていました。しかし、近年では観光地としての人気が高まっており、特に日本人観光客が多く訪れています。これは、小説や映画『天国にいちばん近い島』の影響が大きいとされています。

一方で、英語版の観光ガイドブックには過去の事件の歴史が記載されており、島北部での白人に対する注意喚起がなされるなど、旅行会社も慎重な姿勢を崩していません。

主な観光スポットとしては、直径30メートル深さ70メートル以上のアナワのブルーホール、ムリ島とウベア島を結ぶムリ橋、そして美しいムリビーチなどがあります。ムリビーチでは、映画のロケ地として紹介されることが多いです。

ファヤワ島へ続く内海は、住民によって侵入禁止区域とされており、これは外部の人々にはあまり知られていません。

ホテルの開業

2000年には、日本人やニューカレドニア諸島開発公社などの共同出資により、ホテル『パラディ・ド・ウベア』が開業しました。このホテルは、映画に影響を受けた日本人観光客をターゲットにしていますが、建設にあたっては環境を変容させている側面もあります。

2009年にはホテルの権利がニューカレドニア諸島開発公社に移りましたが、ホテルは島民の一部に利益を還元している一方、今後は利益が還元されない島民から不満が出る可能性も指摘されています。

景勝地

• - ムリビーチ: 白砂が美しいビーチは、映画のロケ地としても有名です。
• - レキンの断崖: ファヤウェ村の南西約6kmに位置する断崖絶壁は、自然の雄大さを感じさせます。

ウベア島は、その美しい自然と歴史的な背景から、訪れる人々に多様な魅力を提供しています。

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