ウマグマ

ピンク・フロイド - ウマグマ

『ウマグマ』は、1969年にピンク・フロイドが発表した2枚組の大作アルバムです。タイトルは、メンバーがケンブリッジ時代に「性交」を意味するスラングとして使っていた言葉に由来し、その響きの面白さから採用されました。

概要

本作は、1枚目がライブ盤、2枚目がスタジオ盤という構成になっています。プロデュースは、これまでピンク・フロイドを手掛けてきたノーマン・スミスからバンド自身へと引き継がれました。全英アルバムチャートで5位、全米では74位を記録しています。

ジャケットには、ギルモアの近くに映画『恋の手ほどき』のサウンドトラックLPが置かれているのが確認できます。

ライブ盤

ライブ盤は、1969年4月27日にバーミンガムのマザーズ、5月2日にマンチェスター・メトロポリタン大学で行われたライブ演奏を収録したものです。「天の支配」「ユージン、斧に気をつけろ」「太陽讃歌」「神秘」といった当時のコンサートで人気の高かった楽曲が、迫力満点の演奏で収められています。当初は「星空のドライブ」も収録予定でしたが、最終的には見送られました。

スタジオ盤

スタジオ盤は、リチャード・ライト、ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスンの4人それぞれのソロ作品で構成されています。各メンバーが作曲から演奏まで全て一人で行っており、個性が際立った実験的な内容となっています。

例えば、「ナロウ・ウェイ」のドラムは作者であるギルモア自身が演奏しています。一方、メイスン作の「統領のガーデン・パーティ」に収録されているフルートは、彼の妻であるリンディ・メイスンが演奏を担当しました。

ウォーターズ作の「グランチェスターの牧場」とギルモアの作品にはボーカルが入っています。ギルモアは当初、自作曲に歌詞を付けようと試みましたが上手くいかず、ウォーターズに助けを求めましたが断られています。この経験から、ギルモアはその後、1987年にバンドの主導権を握るまで、「デブでよろよろの太陽」と「大人への躍動」を除いて、ほとんど歌詞を手掛けることはありませんでした。

収録曲

ディスク1：ライブ・アルバム

サイド1
「天の支配」 - "Astronomy Domine" (バレット)
「ユージン、斧に気をつけろ」 - "Careful With That Axe, Eugene" (ウォーターズ、ライト、メイスン、ギルモア)
サイド2
「太陽讃歌」 - "Set The Controls For The Heart Of The Sun" (ウォーターズ)
「神秘」 - "A Saucerful Of Secrets" (ウォーターズ、ライト、メイスン、ギルモア)

ディスク2：スタジオ・アルバム

サイド1
「シシファス組曲」 - "Sysyphus" (ライト)
「グランチェスターの牧場」 - "Grantchester Meadows" (ウォーターズ)
「毛のふさふさした動物の不思議な歌」 - "Several Species Of Small Furry Animals Gathered Together In A Cave And Grooving With A Pict" (ウォーターズ)
サイド2
「ナロウ・ウェイ三部作」 - "The Narrow Way" (ギルモア)
「統領のガーデン・パーティ三部作」 - "The Grand Vizier's Garden Party" (メイスン)

パーソネル

ピンク・フロイド
デヴィッド・ギルモア (David Gilmour) - リード・ギター、ボーカル (ライブ・アルバム) / ギター、ベース、キーボード、ドラム、ボーカル (ナロウ・ウェイ)
ニック・メイスン (Nick Mason) - ドラム (ライブ・アルバム) / パーカッション、エフェクト (統領のガーデン・パーティ)
ロジャー・ウォーターズ (Roger Waters) - ベース、ボーカル (ライブ・アルバム) / アコースティックギター、ボーカル (グランチェスターの牧場)、ボーカル (毛のふさふさした動物の不思議な歌)
リチャード・ライト (Richard Wright) - キーボード、ボーカル (ライブ・アルバム) / オルガン、ピアノ、メロトロン、パーカッション (シシファス組曲)
追加パーソネル
リンディ・メイスン (Lindy Mason) - フルート (統領のガーデン・パーティ)

実験的な試みが散りばめられた『ウマグマ』は、ピンク・フロイドの音楽性を深く理解するための重要な作品と言えるでしょう。

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