ウミケムシ

ウミケムシ（Chloeia flava）

ウミケムシは、環形動物門ウミケムシ科に分類される多毛綱の生物です。体には剛毛と呼ばれる毛が生えており、この剛毛には毒液が蓄えられています。日本では、ハナオレウミケムシ、セスジウミケムシ、セナジリウミケムシなどが近縁種として知られています。

形態

体長は最大で13cmに達し、背中には暗紫色の円形の模様が並んでいるのが特徴です。体の側面には剛毛が生えており、危険を感じるとこれを立たせます。この剛毛は中空になっており、内部に毒液が充填されています。この毒針は非常に危険で、人が素手で触れると刺され、毒が注入されます。毒針を抜いても毒は体内に残るため注意が必要です。

刺された時の対処

万が一刺されてしまった場合は、セロハンテープなどで毒針をそっと取り除き、患部を流水で十分に洗い流してください。

生態

ウミケムシは、本州中部以南、太平洋南西部、インド洋といった比較的暖かい海域に生息しています。特に京都府の宮津湾周辺では多く見られますが、山形県での発見例もあります。海底の砂の中に潜んでいることが多く、頭部だけを砂の上に出していることもあります。夜間には活発に泳ぎ回り、その速度は比較的速いです。

食性は肉食で、主に動物プランクトンを捕食します。オキアミ程度の大きさの生物であれば丸呑みすることも可能です。釣りの際には、外道として釣り上げられることがありますが、積極的に餌を求めて行動することは少ないため、餌を時々動かす程度であれば掛かりにくいです。

その他

水槽内で他の生物と一緒に飼育していると、ウミケムシが混入し、大繁殖することがあります。増殖速度が速いため、完全に駆除するには手間がかかります。

分類

ウミケムシ科は、かつては遊在目に分類されていましたが、現在ではウミケムシ目として分類されることが多くなっています。ウミケムシ科には、100種以上もの生物が確認されています。

ウミケムシ科の主な属と種

Amphinome
A. rostrata：ササラウミケムシ
Bathychloeia
Benthoscolex
Chloiea
C. flava：ウミケムシ
C. fusca：フタスジウミケムシ
Chloenopsis
Eurythoe
E. complanata：ハナオレウミケムシ
Hermodice
H. carunculata
Hipponoe
Linopherus
Notopygos
N. gigas：セナジリウミケムシ
N. sibogae：カノコウミケムシ
Paramphinome
Pareurythoe
P. japonica：ニホンウミケムシ
Pherecardia
P. striata：タテジマウミケムシ
Pseudoeurythoe

ギャラリー

(画像に関する記述は省略します)

参考資料

串本海中公園のホームページ: 串本浅海産大型多毛類目録
* 動物行動の映像データベース: 冷凍のオキアミを飲み込むウミケムシ（動画）

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