ウメバチソウ

ウメバチソウ

ウメバチソウ（梅鉢草、学名：Parnassia palustris）は、ウメバチソウ属に分類される多年草です。別名としてバイカソウ（梅花草）とも呼ばれ、その名の通り、梅の花を思わせる可憐な白い花を咲かせます。

特徴

根元から生える葉はハート形をしており、柄があります。草丈は10cmから40cm程度で、花茎には1枚の葉と1つの花をつけます。茎を抱くように葉が付くのが特徴です。花期は8月から10月で、直径2cmほどの白色の花を咲かせます。

分布

ウメバチソウは、北半球の広い範囲に分布しており、日本では北海道から九州にかけて見られます。山地帯から亜高山帯下部の、日当たりの良い湿った草地に生息し、地域によっては水田のあぜなどにも見られることがあります。

コウメバチソウ

コウメバチソウ（小梅鉢草、学名：Parnassia palustris var. tenuis）は、ウメバチソウの高山型として知られる高山植物です。北海道から中部地方以北の高山帯に分布しています。ウメバチソウとの主な違いは、仮雄しべの裂け方にあります。コウメバチソウの仮雄しべは7～11裂するのに対し、ウメバチソウは12～22裂しています。

近縁種

ウメバチソウ属には、以下のような近縁種が存在します。

ヒメウメバチソウ (P. alpicola Makino):
高山植物で、仮雄しべは細かく裂けず、腺体がないのが特徴です。
シラヒゲソウ (P. foliosa Hook. fil. et Thoms. var. nummularia (maxim.) T. Ito):
山地性の植物で、花弁の周辺が細かく裂けるのが特徴です。

ウメバチソウ属

ウメバチソウ属は、北半球の温帯から寒帯にかけての山地に約50種が分布しています。以前はユキノシタ科に分類されていましたが、APG植物分類体系では、ニシキギ目にウメバチソウ科（Parnassiaceae）が新設され、APGIIIではニシキギ科に移されました。ウメバチソウ属の他に、中南米に分布するLepuropetalon属（1種のみ）があります。形態的には、花が単生で、10本の雄しべのうち5本が仮雄しべとなる点が、ユキノシタ科と異なります。

語源

「梅鉢」は、日本の家紋の一つで、中心部がおしべの形ではなく、丸くなっている「星梅鉢」という変形もあります。菅原道真や前田利家の家紋として有名で、湯島天神などの天神社でよく見られます。この家紋に由来する植物名には、ハナビシソウ（花菱草）などがあります。

ウメバチソウは、その美しい姿と、家紋との関連から、古くから人々に親しまれてきた植物と言えるでしょう。

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