ウラジーミル・キリロヴィチ・ロマノフ

ウラジーミル・キリロヴィチ・ロマノフの生涯

ウラジーミル・キリロヴィチ・ロマノフ（1917年8月30日 - 1992年4月21日）は、ロシアの帝位請求者であり、1938年から1992年までロシア帝室家長を務めました。彼はフィンランド大公国のポルヴォーに、ロシア皇族のキリル大公とその妃の間に生まれました。両親はともにニコライ1世の孫であり、ウラジーミルが誕生した時点で、ロシア帝国は既に崩壊していました。彼はロシア帝室の家内法に基づき、「ロシア公」として知られるようになりました。

ウラジーミルの幼少期は波乱に満ちており、1920年にフィンランドを出国後、ドイツのコーブルクに移住。1922年、父キリル大公は「ロシア帝位の保護者」としての地位を宣言し、ウラジーミルはロシア大公と称されるようになりました。1930年代にはイギリスでの留学を経てフランスに居を移し、ブルターニュで農業を営みました。

第二次世界大戦とその後の生活

第二次世界大戦中の1942年、ウラジーミルはナチス・ドイツからの協力を求められるも拒否。その結果、彼と家族は強制収容所に投獄される運命に。1944年には連合軍の攻撃から逃れるため内陸に移送され、戦後はオーストリアに逃れました。

戦後はマドリードで生活をしつつも、ブルターニュやパリを訪れました。1948年には亡命ロシア人の公爵令嬢レオニーダ・バグラチオン＝ムフランスカヤと結婚。しかし、ロマノフ家の家内法において彼女との結婚が「貴賤結婚」と見なされ、熾烈な内部争いを引き起こす結果となりました。

1969年には彼の結婚が貴賤結婚であるとの通告があり、この事態は彼と家族の地位に大きく影響を及ぼしました。1991年には生まれて初めてロシアを訪問し、帝位を求めるつもりはないと述べつつも、その立場に関する複雑な感情を抱いていたことが伺えます。

最期とその影響

1992年4月21日、彼はアメリカ合衆国フロリダ州マイアミで心臓発作により急逝しました。その葬儀はロシアにて厳かに行われ、サンクトペテルブルクのペトロパヴロフスク要塞に葬られました。この葬儀は革命以来、ロシア皇族にとって非常に丁重なものであったため、世間の注目を集めました。報道は慎重でしたが、この出来事はロマノフ家とロシア当局との複雑な関係を象徴する出来事でもありました。

ウラジーミルの死後、彼の一人娘マリヤがロシア帝室家長の地位を受け継ぎましたが、ニコライ・ロマノヴィチ・ロマノフの存在によって、ロシア帝位請求権を巡る争いは続くこととなりました。彼が持っていたホルシュタイン＝ゴットルプ公の称号も相続に関する議論を生む要因となり、ウラジーミルの遺産は多くの論争を巻き起こしました。

ウラジーミル・キリロヴィチ・ロマノフの人生は、ロシア皇族の歴史における重要な一章であり、彼の結婚や家族との関係は、帝室内の政治的な力関係を見極めるうえで欠かせない要素となっています。

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