ウラジーミル・パーリィ

ウラジーミル・パヴロヴィチ・パーリィ公爵の生涯

ウラジーミル・パヴロヴィチ・パーリィ公爵（1897年1月9日 – 1918年7月18日）は、ロシア帝国の終焉を背景に詩人としての才能を開花させた人物です。彼はサンクトペテルブルクで、皇帝アレクサンドル2世の六男であるパーヴェル大公と一般女性オリガ・カルノヴィチの間に生まれました。

パーヴェル大公は、死別した先妻との間に2人の子を持った後、オリガとの愛を貫くためにパリに亡命し、1904年に結婚しました。その後、オリガとその子供たちはロマノフ家との和解を果たし、ロシアに戻ることができました。1915年には、ニコライ2世から公の称号と殿下の呼称を与えられ、名実ともにロシア貴族となります。

パーリィは、貴族士官学校を卒業後に帝国陸軍に入隊し、第一次世界大戦に従事します。その中で聖アンナ勲章を受章するほどの功績を残しましたが、文学の才能を示したのは10代の頃からでした。彼は1916年と1918年に2冊の詩集を出版し、さらには戯曲やエッセイも手掛けました。特に、「ユダヤ人の王」というフランス語の戯曲を翻訳したことでも知られています。

しかし、彼の詩才はロシア革命によって悲劇的な運命に繋がることとなります。パーリィはロシア臨時政府の首班アレクサンドル・ケレンスキーを揶揄する詩を発表したため、夏には自宅軟禁されることとなります。さらに、10月革命後にはソヴィエト政権の成立に伴い、彼の立場は厳しくなり、1918年3月にボリシェヴィキによって逮捕されます。

逮捕された後は、ヴャトカ、エカテリンブルク、アラパエフスクと転々とし、最終的には1918年7月18日にアラパエフスク付近で他のロマノフ家のメンバーと共に銃殺されます。彼の遺体は廃坑に埋められ、のちに掘り起こされて中国に送られ、北京の正教会墓地に埋葬されますが、文化大革命の際にその墓地も破壊されてしまいました。

パーリィには妹にイリナとナタリアがおり、ナタリアはフランスでファッションモデルや女優として成功を収めました。パーリィの生涯は、その短さにもかかわらず、ロシア帝国の歴史の一部として語り継がれる存在となっています。

関連図書

彼の伝記は1997年にアンドレイ・バラノフスキーによってロシア語で書かれ、2004年にはホルヘ・F・サエンスが英語とロシア語で“A Poet Among The Romanovs”を出版しました。また、手塚治虫が監修した「世界の歴史第12巻」には、ウラジーミル・パーリィが登場する場面もあるなど、その影響は今尚感じられます。

外部リンク

ウィキメディア・コモンズでは、ウラジーミル・パーリィに関する画像や資料が公開されています。

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