ウルツブルグ (レーダー)

ウルツブルグ

ウルツブルグは、第二次世界大戦時にドイツの空軍や陸軍向けに開発された地上設置型の対空レーダーシステムです。その名前は、ドイツの都市「ヴュルツブルク」に由来しており、1940年から運用が開始され、約4000基が製造されました。このシステムは、その設計においてそれまでのレーダー技術の進化を反映し、戦闘機の探知と迎撃の能力を大きく向上させました。

開発の背景

ウルツブルグの開発は1934年から始まり、ドイツ海軍通信研究所のルドルフ・キューンホルト博士やマイクロ波のエキスパートであるハンス・ホルマン博士の研究に着想を得ています。当初、テレフンケン社の研究責任者であるヴィルヘルム・ルンゲ博士は、これらのアイデアをSFとして却下しましたが、その後、GEMA社が設立され、実際のレーダーシステムの開発が進められました。

1935年春には、GEMAの成功により、レーダーが実現可能であることが証明されました。ルンゲ博士は、その後テレフンケン社内部でのレーダーシステム開発プロジェクトを発足させました。波長50センチメートル（600メガヘルツ）の電波を使用した試験も行われ、目標からの強い反射が得られ、その結果を受けて開発が加速しました。

ウルツブルグの種類と機能

ウルツブルグシリーズには、いくつかの異なるモデルが存在します。最初のモデルであるA型は手動式で、精密なターゲット追跡には限界がありましたが、D型では円錐走査によって精度が向上し、より使いやすくなりました。D型は、受信部が高速回転し、最も強い電波を捉えることができるようになりました。しかし、D型でも充分な射撃精度に達せず、さらなる改良が求められた結果、ウルツブルグ・リーゼが開発されました。このモデルは、7.4メートルの大きなパラボラアンテナと高出力を使い、探知距離を70 kmに引き上げました。また、水平精度と垂直精度も大幅に改善され、実際の戦闘での効果を示しました。

ウルツブルグは主に、敵艦隊や航空機からの攻撃を事前に察知し、適切な迎撃を行うために使用されました。このシステムは、戦時中の空域防御において重要な役割を果たしました。

戦後の展開

第二次世界大戦終了後、ウルツブルグは様々な用途に転用され、一部は電波望遠鏡として再設計され、電波天文学の観測に使用されることにもなりました。戦争の遺産として、ウルツブルグの技術はその後のレーダー技術の発展に寄与することとなります。

英国の強奪と日本への供与

英軍は1942年、ウルツブルグの重要な部品と操作技術を入手するためにバイティング作戦を実行しました。この作戦により、ドイツのレーダー技術の核心部分がイギリスの手に渡りました。さらに、日本への供給計画も立てられましたが、いくつかの困難に直面し、実際には完全な成功を収めることはできませんでした。日本では、ウルツブルグの技術を基にタチ4号という改良型のレーダーが開発されましたが、初期の期待された性能には到達しなかったという歴史があります。

技術的進化の影響

ウルツブルグはその後のレーダー技術の発展に大きな影響を与え、その設計や運用方法は多くの国々で模倣されました。このようにして、ウルツブルグは第二次世界大戦における重要な軍事技術として記録されています。

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