マイクロ波

マイクロ波の概要

マイクロ波とは、無線工学分野において短波の一つとして分類される電波のことです。一般には、周波数が300MHzから300GHzの範囲にある波を指し、これは非常に広い範囲をカバーしています。また、マイクロ波はその名が示すように波長がマイクロメートルであることを意味するものではありません。マイクロ波という用語は1940年代から使われるようになり、様々な定義が存在しますが、その定義が一貫しているわけではありません。

日本においては、太平洋戦争前、電波は政府の管理下にあり、当時のマイクロ波技術は主に軍事目的のために研究されていました。マイクロ波とミリ波は周波数帯域で重複しないため、それぞれ異なる特性を持っています。マイクロ波の発振には数種類の回路技術が使用され、マグネトロンやクライストロン、進行波管（TWT）、ジャイロトロン、ガンダイオードなどが一般的です。

一般的には、マイクロ波の伝送には同軸ケーブルが使われますが、高出力が求められる場合には金属製の導波管が選ばれます。近年では、半導体技術を利用したマイクロストリップ線路などの固体化された発振器の使用も増加しています。

マイクロ波の応用分野

マイクロ波は非常に多岐にわたる応用があり、その利用は様々な産業と技術に浸透しています。例えば、衛星テレビ放送や多重無線通信、レーダー技術はその一部です。また、マイクロ波加熱技術は、電子レンジなどの日常生活においても広く利用されています。これ以外にも、マイクロ波分光法やマイクロ波化学、さらにはマイクロ波送電やマイクロ波イメージングなどもあります。

これらの応用を支える学問は「マイクロ波工学」として知られ、この分野は技術革新を促進する重要な役割を果たしています。

日本では、地上波アナログテレビ放送の規格においても、2012年3月末まで第63チャンネルから第80チャンネルにかけて12GHz付近のマイクロ波帯域が難視聴地域のために利用されていました。このことからも、マイクロ波は我々の生活に深く根付いている技術であることがわかります。