ウルバヌス3世 (ローマ教皇)

ウルバヌス3世は、12世紀の後半にローマ教皇として在位した人物で、その治世は神聖ローマ皇帝との激しい対立によって特徴づけられます。彼は、ミラノ出身で貴族の家系に生まれ、1182年には枢機卿に、1185年にはミラノ大司教に叙任されました。

1185年11月25日、先代のルキウス3世の死去に伴い、ウルバヌス3世は第172代ローマ教皇に選出され、同年12月1日に聖別されました。彼の教皇としての短い在位期間は、政治的な緊張と個人的な感情が複雑に絡み合ったものでした。

ウルバヌス3世は、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世に対して強い敵意を抱いていました。この感情は、1162年にフリードリヒ1世がミラノを攻略・破壊した際に、ウルバヌス3世の親族が殺害されたことに起因します。この個人的な恨みが、彼の政治的な判断に大きな影響を与えました。

特に、1186年1月4日に行われたハインリヒ6世（フリードリヒ1世の息子）とコスタンツァ（ルッジェーロ2世の娘）の結婚に対し、ウルバヌス3世は強く反対しました。この結婚は、イタリア南部にフリードリヒ1世の勢力が拡大することを意味し、教皇庁にとっては大きな脅威でした。ウルバヌス3世は、この結婚が教皇領の安全を脅かすと見なし、断固として阻止しようとしました。

このウルバヌス3世の反対に対し、フリードリヒ1世は激怒し、報復としてハインリヒ6世に教皇領を攻撃させました。この軍事的な圧力により、ウルバヌス3世は降伏を余儀なくされました。しかし、ウルバヌス3世はこれに屈することなく、フリードリヒ1世を破門しようとしましたが、その直後のフェラーラで急逝しました。彼の死は、教皇と皇帝の間の長く激しい権力闘争における一つの転換点となりました。

ウルバヌス3世の教皇としての短い在位期間は、教皇庁と神聖ローマ帝国の間の対立が激化した時代を反映しています。彼の個人的な恨みと政治的な判断は、当時のヨーロッパの政治情勢に大きな影響を与えました。彼の生涯は、中世における教皇と皇帝の間の複雑な関係を理解する上で重要な事例です。

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