ウワナベ古墳

ウワナベ古墳：佐紀盾列古墳群最大の古墳

ウワナベ古墳は、奈良県奈良市法華寺町に位置する前方後円墳です。佐紀盾列古墳群（ウワナベ古墳群）を構成する古墳の一つであり、古墳群の最東端に位置し、その中でも最大の規模を誇ります。

歴史

5世紀中頃に作られたと推定されており、応神天皇の娘であり、仁徳天皇の皇后である八田皇女の陵墓参考地として治定されています。この古墳は、当時の皇室との深い関わりを示す貴重な遺跡です。

構造と規模

墳丘は三段に築かれており、斜面には葺石が敷き詰められています。一段目の周囲には埴輪が並べられていました。現在、墳丘は宮内庁が、周囲を取り巻く周濠は地元の農家組合が管理しており、墳丘の上部は植生に覆われています。

以前は測量図から全長255メートルと推測されていましたが、2020年11月20日に宮内庁、奈良県立橿原考古学研究所、奈良市教育委員会による発掘調査の結果、後円部側の周濠の北東と東の葺石の先で基底石が発見され、全長は270-280メートルであることが判明しました。これにより、同じ佐紀古墳群の五社神古墳（全長267メートル）を上回り、日本国内で12番目の大きさを誇る古墳であることが明らかになりました。

具体的な規模は以下の通りです。

前方部幅: 129.5メートル
後円部径: 128メートル
全長: 270-280メートル
前方部高: 16メートル
* 後円部高: 19.8メートル

地勢

古墳は、6世紀に奈良盆地で栄えた平城京（現在の奈良市、大和郡山市、天理市など）の最北端に位置する佐紀盾列古墳群に属しています。古墳群は東西約12町の範囲にわたり、東からウワナベ古墳、コナベ古墳、水上池、市庭古墳（平城天皇楊梅陵）が並んでいます。北側には、ヒシアゲ古墳（仁徳天皇の前皇后磐之媛命の平城坂上陵）、ヒシャゲ古墳外堤埴輪列（復元）などが配置されています。

これらの古墳のうち、市庭古墳を除くすべての古墳の周囲には堀が巡らされており、遊水地の島のような景観を呈しています。この特徴的な地勢は、古墳群全体の景観を特徴づける要素となっています。

ウワナベ古墳は、その規模の大きさ、歴史的背景、そして周辺の古墳群との関連性から、古代日本の歴史を研究する上で非常に重要な遺跡です。今後の調査研究により、新たな発見が期待されています。

もう一度検索