ウンビニリウム

ウンビニリウムとは

ウンビニリウム（Unbinilium）は、原子番号120に対応する超重元素の仮名であり、正式な名前が決定されるまではこの名称と記号が用いられます。この元素は、周期表においてラジウムの下に位置し、「エカラジウム」という呼称でも知られています。現在、2023年時点でウンビニリウムの発見はされておらず、未発見の状態が続いています。

歴史

ウンビニリウムの研究は活発に行われていますが、主な課題の一つは、複合核反応を経た後の中性子過剰核から蒸発中性子が出る前に自発核分裂が起こってしまうことです。このため、崩壊系列を利用しての検出が難しくなっています。

2000年から2008年にかけて、フレロフ核反応研究所ではウンビニリウム302の核分裂特性に関する研究が進められました。この研究では、プルトニウムと鉄を用いて元素を合成する実験が実施されましたが、自発核分裂が発生し、ウンビニリウムを確認することができませんでした。

さらに、設備を拡張し、ウランとニッケルを対象にした試みも行われましたが、こちらも結果は芳しくありませんでした。

その後の2007年から2008年には、重イオン研究所において、ウンビニリウムに関する追試が3回行われましたが、期待された結果は得られず、否定的な結論に達しました。また、フランス国立重イオン加速器研究所の研究チームは、天然ニッケルを使用した新しい手法で複数の同位体の半減期を研究しました。

2009年以降、重イオン研究所と理化学研究所では、キュリウム248をターゲットにした超重元素の合成が続けられています。特に、理化学研究所は2012年にウンビニリウムとウンウンエンニウムを合成する構想を発表しました。同研究所は、発見した113番元素に関する特設ページを開設し、「119番、120番元素への挑戦」として、さらに研究を進めています。ウンビニリウムは、キュリウムとクロムの衝突により生成されると考えられています。

2021年5月、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所（JINR）は249Cfと50Tiを用いた新しい合成計画を発表しました。この研究では、米国のオークリッジ国立研究所が製造した249Cfターゲットと、フランスの多分野研究所で製造予定の50Tiビームを使用する予定です。ただし、外交的な理由でこれが不可能だった場合、ロシア製の248Cmターゲットを使用することも検討されていますが、この場合は反応確率が減少する見込みです。

2022年3月、核物理学者のユーリイ・オガネシアンは、248Cmと54Crを用いた120番元素の合成方法について講演を行いました。そして、2023年にはJINRの所長が、120番元素の合成実験を2025年に開始する予定であることを明らかにしました。

性質

ウンビニリウムは第2族元素であり、その原子番号120は陽子の魔法数として知られています。このことから、ウンビニリウムは隣接する核種よりも安定しており、長い半減期を持つことが期待されています。さらに、中性子の魔法数である184も有しており、特にウンビニリウム304は数年に及ぶ半減期を持つと考えられ、物理および化学的性質の測定が実現できる可能性があります。

結論

ウンビニリウムは未だに発見されていない元素であり、その研究は多くの課題を抱えていますが、科学者たちは新たな方法を模索し続けています。今後の研究結果を見ながら、この元素の詳細な性質についての理解を深めることが期待されています。

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