ウー・ヌ

ウー・ヌ：ミャンマー独立の立役者とその波乱の生涯

ウー・ヌ（1907年5月25日-1995年2月14日）は、20世紀ミャンマーを代表する政治家であり、国民的英雄として広く知られています。ミャンマー独立への貢献、そして独立後の首相在任期間における政治活動は、ミャンマーの歴史に深く刻まれています。本稿では、彼の生涯と業績、そして複雑な政治的状況下での活動について詳述します。

早期経歴と政治への道

1907年、ウー・ヌはワケマで生まれました。「ウー」はミャンマー語における男性への敬称であり、彼の名前はヌです。ラングーン大学卒業後、1929年にタキン党へ参加。第二次世界大戦下の日本軍によるビルマ占領時には、バー・モウ政権において外相と宣伝相を務めました。戦後、反ファシスト人民自由連盟（AFPFL）副総裁に就任、制憲議会議長を経て、イギリスとの独立協定調印にも携わるなど、着実に政治的基盤を築き上げて行きました。

ミャンマー独立と首相就任

1947年、AFPFL総裁アウンサンスーチーの暗殺という悲劇的な事件を受け、ウー・ヌはAFPFL総裁を引き継ぎました。そして、翌1948年1月、ミャンマーは独立を迎え、ウー・ヌは初代首相に就任しました。1947年制定の憲法に基づき、1948年から1962年にかけて、三度にわたって首相の座に就きます。この間、彼はミャンマーの民主主義発展に尽力しましたが、政治的混乱や民族間の対立、経済問題に常に悩まされました。

クーデターと亡命生活

1962年、ネ・ウィン将軍による軍事クーデターによって、ウー・ヌは逮捕され、失脚しました。1966年に釈放された後、インドやイギリスに亡命し、民主主義を訴え続けました。ロンドンでの記者会見や、タイ・ミャンマー国境付近での「議会制民主主義党」結成など、ネ・ウィン政権打倒を目指した活動に身を投じ、元CIA職員の支援も得て、少数民族勢力との連携も図りました。しかしながら、軍事政権との戦いは長く困難を極め、彼のレジスタンス活動は最終的に失敗に終わります。

帰国と最後の闘い

1980年、ミャンマー政府の恩赦により帰国したウー・ヌは、しばらくは政治活動を控えていましたが、1988年の8888蜂起を機に活動を再開します。彼は1962年のクーデターを違法とみなし、自らを「首相」と主張、アウンサンスーチーら野党指導者に対し、自身の樹立した暫定政府への参加を呼びかけました。しかし、この呼びかけは無視され、その後も民主化運動の中心となることはありませんでした。1989年には反逆罪で逮捕され、軟禁生活を送りました。

晩年と死

1995年、ウー・ヌはヤンゴンの自宅で老衰のため亡くなりました。ミャンマー独立に尽力し、民主主義のために戦い続けた彼の生涯は、ミャンマーの歴史に大きな足跡を残しました。彼の功績と苦難に満ちた人生は、現代ミャンマーを考える上で重要な視点を提供してくれます。彼の理想であった民主主義がミャンマーで実現される日はいつ来るのでしょうか。その実現を願わずにはいられません。

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