バー・モウ

バー・モウ：ビルマ独立運動の指導者

バー・モウ（Ba Maw, 1893年2月8日 - 1977年5月29日）は、ビルマ（現ミャンマー）の独立運動において重要な役割を果たした政治家です。彼は、イギリス植民地時代から独立、そして第二次世界大戦中にかけて、ビルマの政治を主導しました。

生い立ちと教育

バー・モウは、イギリス植民地時代のビルマ、マウビンで裕福な家庭に生まれました。彼の家系はモン族の名門であり、法律家や学者を多く輩出していました。父親はヨーロッパへの駐在経験を持つ外交官であり、コンバウン朝の国王の家庭教師の助手を務めたこともありました。彼はラングーン大学で英語教員として教鞭を執り、その後イギリスに留学。ケンブリッジ大学で法学修士号を取得し、グレイ法曹院で弁護士資格を得ました。さらにフランスのボルドー大学で仏教に関する博士号を取得するなど、高度な教育を受けています。

政治活動

帰国後、バー・モウは弁護士として活動する傍ら、ビルマの政治運動に身を投じました。1930年代には自治政府運動を支持し、イギリス領インド帝国からの分離を主張しました。貧民党を率いて議会に進出し、1937年にはビルマがインドから分離した際に、初代植民地政府首相に就任しました。

第二次世界大戦とビルマ国

第二次世界大戦が勃発すると、バー・モウはイギリス軍の一員としてビルマが参戦することに反対し、逮捕されました。しかし、日本軍の支援を受けたアウンサンらがビルマ独立義勇軍を創設し、イギリス軍を駆逐すると、1942年に彼は釈放され、中央行政府長官に任命されました。1943年、日本の支援を受けてビルマ国の独立を宣言し、国家代表兼首相に就任しました。彼は日本との同盟を締結し、連合国に宣戦布告、大東亜会議にも参加しました。

しかし、1945年になると日本軍はイギリス軍に敗れ、ビルマ国は崩壊。バー・モウは日本へ亡命しました。

戦後

終戦後、バー・モウは連合国軍に出頭し、一時拘束されましたが、特赦により帰国しました。ビルマが独立した後、一時政界に復帰しましたが、ネ・ウィンの軍事政権下で再び拘禁されました。釈放後は政治活動から引退し、1977年にラングーンで亡くなりました。

肖像画

日本の洋画家、伊原宇三郎によって描かれた彼の肖像画は、戦後GHQに没収されましたが、後に日本に返還され、東京国立近代美術館に収蔵されています。

バー・モウは、激動の時代を生きたビルマの指導者として、その複雑な生涯は今もなお議論の対象となっています。

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